香港のエリート大学生たちと会ってきた。自由なキャリア志向の下にある、学歴格差と若者たちの不安・希望。
香港に降り立ってすぐ、
香港の学生たちと一緒に食事をする機会が持てました。
香港の学生の「働く」みていきます。
今回会うことができた香港人の大学生は3人。
KennethとJade、そして、Joseph。
大学4年生の彼らは、仲良しグループ。
潤pもいつも池袋のキャンパスで展開しているような、
学生ノリを全開に皆んなでワイワイ香港料理を突きます。
Kenneth:潤p、パイナップルバンって知ってる?
潤p:え?なに?パイナップルのなんか?
Kenneth:まー来てのお楽しみ。笑
香港で中華料理は色々食べてきましたが、
実はまだまだ日本でも知られていない、
香港ローカルっこなら誰でも知ってるこんな食べ物があります。
これが、パイナップル...バン!!!
全然パイナップルじゃねぇ!!
日本でいうメロンパンのようなものを熱々にして、
真ん中に切れ目を入れて中にバターをぶち込んだ一品。
程よく溶けるバターの塩味と、
パン自体の甘みが絶妙にマッチして、
本気で美味かった一品を、
まず食前にかきこんで、
そこから香港料理を食べていきます。
香港の大学生の3人3色の就活
潤p:皆んな、仕事どうすんの?
Jade:私はまだ就活中!
Joseph:オレは自分の会社があるから、就活はしないんだ。
潤p:Keneethは?
Kenneth:んー、一応、決まってるよ笑
3人集まっただけで、全員バッラバラの状況。
それもそのはず、
もともとイギリスの統治下にあった香港では、
就職活動のシステムは極めて欧米的。
基本大学4年次に就活をしますが、
卒業後にもまだ継続する、
または卒業後に就活を始めるケースも珍しくありません。
卒業後も継続する就活 - Jadeの就活
名前:Jade
年齢:21歳
職業:大学4年生 マーケティング専攻
マーケティングを香港大学で学ぶ彼女は、
フランスへの留学経験も持ち、
学生時代に様々な経験を模索してきた1人です。
潤p:就活の調子はどう?
Jade:実際は、そろそろ早く決めたいから、ちょっと焦ってるよ。だって、あと1ヶ月で卒業なんだもん。
卒業後にも就活を継続するといっても、
原則ではなるべく早く就職するというのが良しとされているといいます。
というのも、
どんどん企業の採用枠も減っていきますし、
企業としてもなるべく早く人材を確保しようという狙いがあるからです。
将来的には、
大学で専攻したマーケティングの知識を使って、
化粧品会社への就職を希望しています。
学生起業 - Josephの就活
名前:Joseph
年齢:22歳
職業:大学4年生 コンピュータサイエンス専攻
学生起業を始めた彼。
すでに「就活」はやめました。
潤p:Josephはどんな仕事してるの?
Joseph:今は、アプリ開発系の会社を、自分がトップでやってるよ!
香港でも、学生起業家が徐々に増えつつあるといいます。
しかし、もちろん未だに起業家はごく少数派だといいます。
潤p:何で、会社に入らないで、起業したの?
Joseph:香港では、多くの大学生が、やりたくない仕事をやって、それをずーっと長時間働き続けることになる。それなら、人になんて言われても、オレは自由に好きな仕事をしたいんだ。
迷いながら - Kennethの就活
名前:Kenneth
年齢:21歳
職業:大学4年生 マーケティング専攻
アメリカで海外インターンをしてきたり、
活動的に学生生活を送ってきたように思える彼には、
少し悩みがあるような??
潤p:ケニースはどんな仕事をするの?
Kenneth:笑
潤p:なんで笑ってんの?笑
Joseph&Jade:いえよ~
Kenneth:銀行。でも、1番、やりたかった仕事かって、聞かれたら、そうじゃない笑
彼、実は世界的にも有名な香港のフラッグ航空、
キャセイパシフィック航空が第一志望だったと言います。
しかし、就職の難しいこの企業の内定は取れず、
現在の銀行に行くことを決めたという。
本来であれば本当にやりたかった仕事でない道に進む自分に、
少し後ろめたさを感じているようだ。
香港の学生に、人気の企業は、銀行、証券、生保などの大企業。
1番のモデルライフコースとされるのは、
高級な収入を得て、社会的な地位を得ること。
香港の若者の、学歴格差
潤pの勝手な思い込みで、
香港に住む人たちは、
とんでもないリッチピーポーだと思ってたわけです。
しかし、実情は、
歴然とした格差がある厳しい競争社会であるのがここ香港。
大学生のライフコースにも確実に、
経済的な豊かさが第一に望まれます。
というのも、香港で大学に行けるのは、
大学入試統一テストの上位18%のみ。
そして、その成績順に、
各大学に自動的に振り分けられます。
(自分の意思も加味される部分もあるらしい)
日本のように各大学がそれぞれの入試を持っていたり、
推薦などの制度のない香港では、
高校卒業後、大学進学を希望する学生が全員統一のテストを受けます。
つまり、大学に進学する術は、
上位18%に食い込むため、必死に勉強することのみ。
世界共通の事実ですが、
大学出身者が非出身者よりも生涯賃金が上回る事実がある故に、
受験戦争は激しいです。
18%に漏れた学生たちは、
専門学校などへ通うか、
または仕事につくか、
はたまた、中国の大学や、
裕福層は海外大学への留学を行う場合もあるそうです。
「意識の高い」香港学生の特徴
おそらく、香港の大学に入っている大学生たちは、
その倍率故相当レベルの高い若者達だといえる。
しかも今回会った3人とも、
香港No.1の大学、
香港大学の学生なのだから、
エリート中のエリートっちゅうわけです。
しかし、彼らが将来を望む形は、
それぞれが抱える不安や希望を等身大で表している。
イギリス統治時代の流れを汲んで、
東アジア圏に見られない、
欧米的な思考やキャリア志向を持つ香港の大学生。
しかし、その根底にあるのは、
成熟され尽くした社会の若者が誰でも思う、
将来の不安や、はたまた希望なんかに裏付けられているように思います。
3人とも、バラバラの道を歩む不思議な空間。
そんな面白い香港大学生の雰囲気を味わうことができました。