ストリートナンパで始まるミャンマー・フィールドワーク。質素な秀才、ヤンゴン大学生たちの日常。
今の所この旅を通して得られた最大の能力は、ストリートナンパスキルだと宣言せねばなりません。
目的と欲望のままに現地人を喰い荒らす潤pを、狩人の化身と呼称するように、雄としての、いや生物としての感覚が日に日に研ぎ澄まされていくわけです。
というのも、これまでの旅は、旅のし易さだけでなく、プロジェクトを進めていくにあたっても正直イージーモード。
これまで訪れた全ての国に、もともと友人だった人や、知り合いからの紹介で会う手はずが付いている人だったり、何かしらの現地人との繋がりを事前に持っていました。
つまり必然と調査対象者の1人目は事前に確保されていた状況にありました。
しかし、ミャンマーは、初めてのノープランフィールドワーク。
ゼロから、繋がりから何まで、自分で作り出していかなければなりませんでした。
そんな時、とりあえず思いついた手っ取り早い策、そうだ、大学に行こう。
大学生イコール、就職や働くを目前に控えている人たちですございますし、若者しかいない絶好の狩場なわけです。
でも、行ったところでどうやって?もちろん、ストリートナンパ。もう仕方がないので、話しかけまくるしかありません。
ヤンゴン大学行ってきた。
*西洋的な建物が目を引く入り口
やってきたのは、ヤンゴン大学。とりあえず、東大の方式で、その国の都市の名前がつく大学に行けば、それなりの何かがあるだろうと判断したわけです。
ヤンゴン大学はヤンゴンの中心地、スーレーパゴダ付近からバスで20分ほど北上した場所にあります。
緑豊かなキャンパスが出迎えてくれると同時に飛び込んでくる、西洋的建物。
気になったので、通りがかった学生に。
潤p:これ、何の建物ですか?
女学生A:!? あ、これは教会ですよ。
潤p:クリスチャンの大学なんですか?
女学生A:えーっと、違いますけど、昔イギリスが統治していた時代に建てられたものです。
潤p:そうですか!ところで、あの、キャンパス案内してくれません?
女学生A:いいですよ!笑
同じ学部、学科、研究室の3人組。年は19~20歳の大学1年生のフレッシュマンたちです。今は夏休み中ながら、実験のために毎日のように大学に通っているといいます。
専攻は化学。早速、彼らの研究室、ラボに連れて行ってくれることに。
女学生A:今は、細菌の繁殖の実験をしてるんです。ちょっと待ってくださいね。
潤p:すごいですね!僕はこうゆうのあんまりやったことないので笑
女学生A:あー!!ヤバイ!失敗してる!
今回の実験は、失敗に終わったようです笑
ヤンゴン大学生たちの、キャンパスツアー
緑豊かな、吹き抜けの造りの、開放感のある学校。海外の大学に来てみるのは、他大学マニアの潤pにとって、この上ない至高の時間です。
女学生B:ここは、学生寮です。男女で施設が分かれていて、大学内で全てのことが足りるように作られています。一年で、50000チャット(約¥5000)なんですよ!
*学生寮
女子学生寮は18:00が門限。以降は一切の外出が禁止となります。男子寮は一方22:00が門限。男女差が大きく存在しているミャンマーらしい規則です。
女学生A:ミャンマーは女性に対してはとても厳しい社会だと思います。私だったら、もしこの歳で彼氏ができたら、親に怒られる!
男学生:でも男はなんでもオーケイ!笑
女学生A:そういえば、夜に閉まる女子寮にいる彼女に、その彼氏が外からラブレターを投げたりすることもあるんですよ!!笑笑
ミャンマー人の民族衣装、スカートのようなロンジーという巻物、男性も多くが身につけていますが、ヤンゴン大学では女子学生の制服になっています。男子生徒は服装自由。
*伝統衣装ロンジーを履いて登校する学生たち
充実する奨学金制度 - 超優秀な生徒たち
潤p:ミャンマーの大学にはどうやって入学するの?
女学生A:高校を出てから、統一試験があって、その成績で行く学校を選べるんです。
基本統一試験以外の入学方法はありません。その意味でかなりシビアといえますね。
おそらく60%ぐらいの進学率だという彼女たち。しかし話を聞いていくうちに、彼女たちがとんでもなく優秀な生徒たちだったことに気づきます。
潤p:大学の学費はどれぐらいなの?
女学生B:20000チャット(約¥2000)ぐらいです。
潤p:え!?!?¥2000!?!?
女学生B:はい。そうです!でも私たちは3人とも奨学生なので、学費はなく、生活費として毎月10000チャット(約¥1000)をもらっています。
奨学金をもらえるかどうかは、前述の大学受験のための統一試験の結果で決まります。
後々に知ったことですが、ヤンゴン大学は古くから名門大学としてアジアで名を馳せる大学でした。
政権が代わり、教育改革を積極的に進める政府方針のもと奨学金制度も積極的に取り入れ、なんと彼女たちのクラスの半分は奨学生だといいます。
僕らと変わらない大学生たち - 僕らと全く違う大学生たち
彼女たちとの会話は、大学内で会話しているというのもあって、なんだか懐かしい気分になります。ちょっと大学一年生の頃を思い出すような話題も溢れ、
女学生A:あ!潤pさん!あの2人!
周囲爆笑
女学生A:あの2人、同じ学部なんだけど、くっつけくっつけってずっと言ってたら、いつの間にか付き合っちゃったの笑笑
潤p:マジでー!ハハハハハ!いいなー!笑
爆笑
そんな他愛もない話をしていると、話はまた揺れ動くミャンマーの話に。
男学生:実は、私たちはこの大学の一期生なんです!笑
潤p:え!?いや、そんなはずない、だって
男学生:っていうのも、ついこの前までの軍事政権時代、長い間ずっとこの大学は閉鎖させられていて、僕たちが入学する年に久しぶりに開校したんです。
今までの日本でも見られる大学生としての姿が、一瞬で、日本とはやはり環境の違う、彼らなりの人生の上に生きている学生なんだと、ゴクリと息を飲みます。
潤p:今、ミャンマーはとても激動の瞬間だと思うんだけど、皆んなはその辺り、どうゆう風に思ってるの?
男学生:今の体制になってよかったと思うよ。
潤p:何で?
男学生:昔までは、大学にも全く自由がなかったんだ。わざとキャンパス同士が遠くに作られて、学生同士がユニオンを組むことを政府が故意的に阻止していたりもしたんだ。
潤p:なるほど、、、
女学生A:例えば、すっごく身近な話で言えば、コンヤーって知ってる?
潤p:あぁ!あの、町中でみんなが食べてる、葉タバコ!(ミャンマーの国民的愛用嗜好品の葉タバコ。健康に害があるとされている。)
女学生A:あれも、つい1週間前に取り締まりの対象になったんだよね!
*教室
ヤンゴンの大学生たちは質素な秀才たちだった。
理数系を専攻する彼ら。将来は研究職に就いたり、または留学もしたいと言います。軍事政権時代に多く規制されていた学びという知恵が解放されたことによって、今のミャンマーの若者は、非常に熱心に人生を歩んでいるように見受けられます。ちなみに、授業もすべて英語です。
そして、1番の印象は何よりも素朴!
潤p:皆んな、休みの日は何してるの?
女学生A:休みの日、、、???
女学生B:んー???
男学生:休みの日は、特に何もしてないかなぁ。勉強する人もいれば、、、
潤p:お酒飲んだりはしないの?
男学生:お酒もそんなに飲まないかな。
女学生A:私は一回も飲んだことない。
真面目ながら慎ましく、小さく楽しい学生生活を送っている彼ら。まだまだまったりと時の流れている校舎でありながら、英語を流暢に話し、将来を憂う素敵な若者像が、緑豊かなキャンパスにありました。