潤pの、就活やめて、世界一周することにしちゃった。

2016/4/15から始まった、世界中の「働く」を探るプロジェクト! 日本の「就活」と「働く」ことに息苦しさを感じた「現役就活生」潤pが、世界の同世代と出会い、就活事情と労働環境、そのライフコースを取材、配信し、 帰国後に電子書籍化するプロジェクト。

日本で働く外国人って何考えてるの?ミャンマー日本技能実習生の心の内。

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日本でも、最近ではコンビニやらファミレスやらで、たどたどしい日本語の外国人を見かける風景が当たり前になってきました。工場で働く外国人労働者も含めれば、すでに日本の労働力の一部が彼らの手によって賄われていることがわかります。

 

いつもは大して気にとめることがなかった彼らでしたが、ミャンマーでは、日本の技能実習生になろうとする外国人に心の内を聞くことができました。

 

 

技能実習生って??

彼らとの出会いはミャンマーヤンゴンの日本語教室のこと。

フィールドワークが手っ取り早く始められる場所は、大学と日本語学校というのが潤pのいつもの流儀です。

ヤンゴン滞在中何度も通わせて頂いたこの日本語学校の生徒の多くが、日本語を学んでいる理由。それはまさしく日本の技能実習となることです。

つまり、日本に出稼ぎにいくため。

 

技能実習生とは?

日本の企業などで技術、技能を身につける為に日本に来ている外国人を技能実習生(旧:研修生)と言い、、、

外国(主に新興国)の方が日本の企業で働くことにより日本の高い技術を身につけ、その国の発展を担う人を育てる「人づくり」を目的として創設された国際協力のための制度です。

http://www.yd-jissyusei.com/aboutjissyu.html 

生徒それぞれの日本語レベルはバラバラですが、多くの生徒が「ミャンマーでは信じられない給料を日本で稼ぐ」という夢を抱いて日本語を日々学んでいます。

 

今回は、2人の技能実習候補生に話を聞くことができました。

ヌさんと、ニーさんです。

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名前:ヌさん
年齢:25
職業:銀行員

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名前:ニーさん
年齢:27
職業:銀行員

 

エリートミャンマー人でも、日本に出稼ぎ!?

潤p:2人は現在どんな仕事をしてるんですか?

ヌ:銀行員です。

ニー:僕も銀行員です。

 

なんと驚くことに、一般的に考えたら社会の上級職とされる銀行員の2人が、日本への出稼ぎを希望しています。

 

潤p:就活は、どのようにされたんですか?

ヌ:大学を出て、求人を探し、申し込みました。面接は3回もありましたよ。

潤p:銀行員って、おそらく他の仕事よりもお給料もいい仕事だと思うんですけれど、それでも日本へ?

ヌ:もちろん銀行員はミャンマーで大人気の職業です。給料がいいですから。しかし、人手不足が原因で、労働環境は非常に悪いんです。9時まで残業は当たり前だし、もちろん残業代なんてない。土日に無給で働かされることもしょっちゅうです。

 

確かに、この2人に出会った日も、もう9時過ぎだし、さすがに教室しまってるかなぁーと思って行ってみたら、え!まだ教室やってんの!?というタイミングでした。


そもそも、とっさに思った、銀行員ならわざわざ日本に行かなくても十分な生活が送れるんじゃないの?という考えは間違いでした。「技能実習生になるために日本語を学ぶ」という選択は、ある一定以上の給料をもらう生活水準の層にしか抱けない選択である可能性が大きいからです。

それを下回る生活を送る人には、まず授業料はどうするのか、その日その日の暮らしを送ることがまず第一優先で、そんな夢すら抱く余裕はないのです。

平均以上の生活を送る彼らだからこそ、現状の労働環境に不満を抱き、向上心を持つことができる。そんな理由が潜んでいるように思います。

 

綺麗な工場を見たから、日本で働こうと思った? 

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*授業風景

潤p:日本で働くことのどんなのところに惹かれたんですか?

ヌ:残業してお金も入って、ミャンマーで働くより賃金がずっといいからです。

 

1ヶ月20万チャット(約2万円)という給料と、労働量が見合わないという2人。より良い人生を求めて、日本へ行くことを決めました。

 

潤p:ニーさんは?

ニー:ヤンゴンにある日本の工場に見学に行ったことがあるんです。そこの、ゴミも全然ない工場にとても驚きました。規則が厳しく、ルールが徹底された環境で働いてみたいんです。

「お金」のためだけではないというニーさんの言葉に、興味が湧いてきます。

潤p:日本人の僕からすると、日本で働くことって、とてもプレッシャーの多いものだと思うんです。残業代は出ると言っても、毎日毎日プレッシャーの下、厳しい面も多いんですよ。

ニー:僕は、日本人の働き方はとても面白いと思っています。朝早く会社に行って、キチッとルールを守って。そうゆう環境の整った日本企業で働くことが自分のスキルアップに繋がると思っています。

僕の中の、外国人労働者への気持ちの変化。

ニー:とにかく、どんな仕事でもいいから、とりあえず日本に行きたいです。行ってから、話はそこからだと思っています。

 

正直言うと、日本で働く外国人に対する潤pの持っていたイメージはとても悲観的でありました。

経済的に豊かでない国の人たちが、日本に来て働く姿は、まるで人間に優越がつけられている、ゆったら奴隷制度のようにすら映っていたからです。

しかし、彼らの話を聞いていると、日本で働くことはあくまで通過点でしかなく、将来に繋げる1つのステップとして捉えていました。

ヌ:私には夢があります。実家でやっている小売の商店を大きくして、ミャンマー中に展開するという夢です。日本で学ぶ技術を、将来の自分のビジネスに役立てようと思っています。

ニー:僕は、日本で農業技術を学び、ミャンマーに帰ってきたら、日本で稼いだお金を元手に、米の輸出入の会社を作りたいと考えています。そのために、とにかく日本の技術を学びたいんです。

安価な労働力として抽出されるだけされるという僕の過去の外国人労働者に対する見え方は、ミャンマーを将来背負って立つ貴重な人材というものへと変わりました。

彼らも日本企業に選ばれるのと同じように、自らの人生を選択しているのです。

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*初級クラス

それでも無くならない、外国人労働者とのトラブル。

ミャンマー人の技能実習生派遣のサポート業務を行う方は、こんなことも漏らしていました。

技能実習生のトラブルは尽きません。会社によっては、手を挙げられたり、非人道的な扱いを受けてしまう環境もありえます。下に見られてしまう構図をどう変革していくかが、これからの課題になると思います。

また、こんな事例も。

日本企業がダメージを受けるケースも少なくありません。日本的な教育の一環として、上司に怒られて、それで心が折れてしまって、仕事に行かず、難民申請をして逃げる人もいます。

安価な技能実習生を獲得するために、企業は巨額の投資をしています。それが逃げられた瞬間に、水の泡。このような形で難民申請する外国人がこれから増えれば、社会問題の火種となるといいます。

 


それでも、様々な困難が待ち受けていようと、目を輝かせて日本で仕事をしたいという日本語を学ぶミャンマー人達。

日本で働くことは、やはり、ミャンマーで同じ作業をするよりも格段に給料がよく、環境も安全で、炎天下の中行う手作業の農業と比べれば断然良い選択肢だと考えられます。

そして、彼らはより良い人生を日本で学ぶことを通して見出そうとする、これからのミャンマーを背負う人材です。決して、吐いて捨てるような単なる安価な労働力ではありません。ミャンマー、日本、双方の世界を変えるこの素晴らしい制度に最も必要なのは、双方の心からの理解であると、強く感じました。

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