潤pの、就活やめて、世界一周することにしちゃった。

2016/4/15から始まった、世界中の「働く」を探るプロジェクト! 日本の「就活」と「働く」ことに息苦しさを感じた「現役就活生」潤pが、世界の同世代と出会い、就活事情と労働環境、そのライフコースを取材、配信し、 帰国後に電子書籍化するプロジェクト。

東南アジアの「働く」総まとめ。発展途上国ではまとめきれない、各国の「働く」「生きる」

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大好きな東南アジア。

安くて、美味くて、楽しくて。

航空券も安く、文化的なギャップも少なく、何より親日国が多い為、日本人が気軽に訪れやすいエリアです。

東南アジアには(バングラデッシュも東南アジアにカウント)、2ヶ月半、4カ国、7都市に滞在してきました。

<訪問国>

カンボジア/シェムリアップ
・タイ/バンコク
ミャンマー/ヤンゴン, バガン, マンダレー, タムー
バングラデッシュ/ダッカ

 

彼らは未だに「発展途上国」?

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ヤンゴンの建設中のビル

東南アジアと言われれば、発展途上の国々だと一括りにされて、未だにビルひとつない原始的な生活が営まれていると思っている人も中にはいるかもしれません。

しかし、一度東南アジアの都市に訪れると、その人の量やエネルギー、行き交う車、そしてそびえ立つビル群に圧倒されます。

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バンコクのビル群

急成長を見せる、カンボジアの首都プノンペンや、バングラデッシュダッカミャンマーヤンゴンなど、恐ろしいスピードで高層ビルが建設中ですし、バンコクに関しては既に世界都市にも劣らない最先端都市が形成されています。

それぞれの国が、大きな工場を抱えていて世界の輸出拠点になっていたり、購買力と需要から世界的なマーケットとして期待されていたり、もうすでに脱発展途上国化、ひいてはすでに先進国の仲間入りを果たしているとすら見えるのです。

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バングラデッシュのラッシュアワー

「就活」の有無が、一つのライン?

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シェムリアップで夜の宴会

しかし、一方で、「働く」ということに着目してみると、東南アジア地域といわゆる先進国と言われる国々との間にはギャップがあるとも言わざるをえません。

その線引きをするひとつのラインが、「就活」の存在であると思われます。

興味深いことに、東アジアのエリアでは、「就活」という概念がしっかりと存在していました。

複数の企業に履歴書などを送り、面接を受けるという、仕事を探す為の一連の作業。

就活を人生の一つの分岐点として捉え、そこに大きな意味を与えている人が多かったのが日本も含めた東アジアの地域の特徴でした。

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ヤンゴンの街並み

しかし、東南アジアでは、もちろん仕事を探すプロセスは存在しているし、仕事を探すことも理解してはいるけれど、それをことさら「就活」と人生のビックイベントとして捉えている人は少ないように感じました。人生の中の流れの一つ程度にしか捉えていないようなのです。


考え当たる理由は幾つかあります。

①「就活」が東アジアほど厳しいものではない!

日本ももちろんのこと、特に韓国では非常に厳しい就活戦争が巻き起こされていました。

それだけ就職環境が厳しければ、準備も入念にするし、つまりは「就活」が達成しなければならない人生の大きなメインイベントとなるんだと思います。

その背景には、国民の高学歴化、経済状況の悪化など様々あると思われますが、

しかし、逆に言えば、「就活」が厳しくない社会では、「就活」は決して人生のビッグイベントにはならないのです。

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ミャンマー

実際に、東南アジアのオフィスワーカーに東アジアの就活の厳しさを伝えると、口を揃えて驚きます。

そもそも、大学進学率が東アジアに比べてまだ低く、競争が激化する以前にあるとも考えられます。

②社会のモデルコースの違い。

さらに、在学中に就活するとか、卒業後にすぐ就職するとか、そういった一定の社会のモデルコースのようなもの自体が存在していないように見えました。

例えば、ある人は大学卒業後、ある程度期間を置いてから就職活動を始めたり、ある人は、若くして何回も転職を繰り返したり。

f:id:jumpeikobayashi:20160702170559j:plain*パーティーアニマル、タイ人


そして、そもそも生きていく上での目指されるゴールのようなものが異なる気がします。

東アジアの国で多く見られた、「有名で、給料がいい会社に就職し、経済的にも社会的にも豊かな将来を描きたい。」という至上命題が、東南アジアには必ずしも存在はしていませんでした。

要するに、その日に生きることができる分の最低限のお金を持って、その日その日と楽しく生きること。これがむしろメインテーマなように感じられました。

そうであるからこそ、日本のように自己分析に没頭したり、自分に合う企業をギリギリまで剪定する必要は感じられないのです。

そのような社会では、決して一部の企業にだけ求人が集中して、激しい就活現象は生まれず、それぞれの人がそれぞれの人生を自由に歩んでいく社会が構築されるのです。

 

ちなみに、この「就活」が存在しない現象は、当初の「世界の就活を考える」という自分のテーマを根底から大きく揺るがしてしまうものでして、このこととどう向き合ったらいいかだいぶ悩んだりしてました。

それぞれに異なる東南アジアの就活意識。

しかし、その傾向にもばらつきがあるのが面白いところです。その要因として考えられるのが、社会の学歴志向などからなる考え方の先進国化。

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*先進国化と就職活動の有無相関図

上のグラフは、その国(都市)の先進国化のレベルと、その社会にどれだけ「就活」というものが概念として存在しているかを相関させたグラフです。

今回滞在した中でも最も先進国化が著しかったタイ・バンコクでは就活の存在感が増しており、より良い大学に、より良い就職先にという考え方が広まりつつあります。

さらに、軍事政権の元、他の国とは異なる歩みをとってきたミャンマーでは、整った教育システムの元、よりよい生活を求める意識が高いことが挙げられます。

以下に、それぞれの国の持つ、「働く」特徴を見ていきます。

 

限界を迎える観光業と、新たな生き方を模索する若い世代 ーカンボジアシェムリアップ

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カンボジアシェムリアップといえば、言わずと知れた世界的な観光地です。

アンコールワットを誇るこの土地は、世界中から観光客を呼び寄せると同時に、カンボジア中から労働力を集めています。

単純な経済的理由だけでなく、環境変化による職不足などが引き起こされているカンボジアの地方から、お金が潤沢に回るこの街へ、出稼ぎにやってくる人は多くいます。

しかし、一方で、あまりに増えすぎた労働力は、職にあぶれる人も生み出します、さらに、その時々の世界情勢に大きなダメージを受けやすい観光業では、いつも確実な生活が保障されるとも限りません。

そんな中、新たに登場してきた若い世代は、学歴やIT技術、またグローバルな視点を元に、観光業以外の選択肢でシェムリアップで生きていくという選択をしていこうとしています。

先進国化が著しい激動の街で、より豊かな人生を歩むータイ・バンコク

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2年前に来た時と比べても、またより一層生まれ変わっていくタイ・バンコク。この止まらないスピード感を持つバンコクは、一昔前の日本が歩んできた道を歩んでいるようにも見えました。

特に人々が口を揃えて言うのは、「バンコクの人は忙しい」。

東京でも見られるような、過度な先進国化が引き起こす、精神的な疲弊状態がすでにこの土地でも見受けられます。

そんな中、すでにそんな生活に違和感を覚えた人々は、独自のライフコースを描いています。

裏を返せば、より豊かな人生選択が可能になったこの国は、もはや先進国と言っていいのかもしれません。

独裁政治に形作られた恩恵を受ける人、受けられない人ーミャンマーヤンゴンー 

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つい最近まで独裁政治の元歩んできたミャンマーは、そのイメージとは反対に、独裁政治だったからこそ治安が良く、教育制度も整い、人々の生活レベルも安定した国であるといえます。

ミャンマー人は会う人会う人素晴らしい人たちばかりで、素朴で真面目な国民性ですが、一瞬にして虜になりました。

興味深いのが、やはり独裁政治のもたらした大きなメリット。教育レベルも安定しており、充実した奨学金制度など、その恩恵を受ける人々も多くいます。

一方で、ミャンマー一般では生活レベルが低いとされる人たちももちろん存在します。しかし、ここがミャンマーの特徴で、全体的に安定したこの国では、生活レベルの低い人たちは、より良い教育を受け、より良い仕事に就くことが豊かになることの近道であると社会の中で知らされています。

そのため、苦しい生活の中でも、より積極的な人生選択をしている若者が多くいます。

経済的にも身体的にも無理をして大学へ通ったり、より良い賃金を得てミャンマーでビジネスを展開するために、日本への技能実習生へ志願したり。

全員がゆっくり生活している国々では起こりえない現象が起こる、興味深いミャンマーです。

アジア最貧国で、共に生きる働き方。ーバングラデッシュダッカ

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アジア最貧国といわれるバングラデッシュ。首都ダッカでは今、めまぐるしいスピードで世界が変わっています。

インドよりも安価な労働力や、質の高い工場製品など、世界から注目されるこの国で生きることとはどんなことなんでしょうか。

イスラム教国のバングラデッシュは、イスラム教という宗教の特質上、非常に宗教と生活が一体化した国であります。

国民の生活もまず宗教が前提にあり、日々を送っているのです。

そんな中、彼らの生き方のポイントは、「家族」との繋がりです。

これは決して血の繋がった家族に限る話ではなく、共に生きる兄弟として、所属する組織の中で、プライベートもすべて共有し、共に生きています。

深く他者と向き合う彼らの働き方には、日本では考えられないワークライフが存在していました。

まとめ

発展途上国と一括りにされてしまうこれらの国々でも、それぞれに全く異なる顔を持ち、それぞれに異なる問題も抱えている国々でした。

東南アジアの調査では、先に挙げた「就活」が存在していないという事実に、初めはとても翻弄され、どうやってこの現象を考えていけばいいのかと悩みましたが、むしろそれこそその国の「働く」「生きる」ことではないかと、別の角度から許容してみるという考え方に僕自身変わっていきました。

もちろん、改めてあくまで主観的な調査であり、むしろそこを大切にしている僕のフィールドワークですが、そこで出会ったその土地に生きる人々は、いつも日本にいるだけではわからない、日本人的な感覚では絶対に分かり得ないことを教えてくれます。

しかし、どこかで常に思い続けたのは、バンコクが迫りつつあるように、これらの国々も次第に日本の若者や労働者が抱える悩みを抱える日が来るのでしょうか。

そして、いつか世界が先進国化した時、世の中の人はどう生きていくのが、幸せなのでしょうか。

いずれにせよ、中国を境に、東アジア人から見た目容姿が変わるこのエリアは、いつ来てもどんな人でも、暖かく迎えてくれる国々ばかりです。

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