潤pの、就活やめて、世界一周することにしちゃった。

2016/4/15から始まった、世界中の「働く」を探るプロジェクト! 日本の「就活」と「働く」ことに息苦しさを感じた「現役就活生」潤pが、世界の同世代と出会い、就活事情と労働環境、そのライフコースを取材、配信し、 帰国後に電子書籍化するプロジェクト。

何故今、時代はスタートアップなのか!?バンガロール現役起業家が教える、スタートアップでチャレンジし続ける真意とは?

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バンガロール、スタートアップ界隈のフィールドワークの面白さは尽きません。

今回スタートアップ企業のオフィスにお邪魔することができまして、スタートアップとは何なのか!?スタートアップが持つ本当の力とは?そこんとこ聞けました。

 

 

さて、バンガロールの街はなかなか広くて、東京で言ったら丸の内みたいな感じのオフィスが大集合している場所というのがないのが、ちょっと動きづらく感じがしてしまうところ。

幅広くオフィスビルなどが点在しておるのです。

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*World Trade Center

今回お邪魔するのは、その中でも、Amazonなど世界的大企業も入る六本木ヒルズのようなオフィスビル、World Trade Center

 

すっかりこのスタートアップ生活に浸りきった潤pはこの日も、ドヤ顔でUberを使っての到着となります。

だって、毎回交渉しなくちゃいけないタクシーとかリキシャーより、安くて親切で、ほんっと便利なんだもん。

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着いて早速、受付でパスを発行してもらい、いざ今回訪問のアポイントを取っているオフィスへ向かいます。

バラナシなんかでは決してお目にかかれない、スーツをビシッと着込んだインド人とエレベーターに乗りながら、階を駆け上がります。

 

オフィスに着くと、早速サッカーゲームで盛り上がるワーカー達が楽しそうに迎えてくれます。

こんなこと、バリバリの日系企業でやってたら殺されます。

 

バンガロールの起業家に、お話聞いてきた。

今回はこの会社のファウンダーの1人の方に、お話を聞けることになっています。

なんとなく、こちらが質問したい側なのに、面接を受ける前のような緊張感の中、その方Aさんとの対面。

 

A:初めまして。すみませんね、今うちのプロダクトがローンチ前で、もう1人のファウンダーが出てて、私しかいないんですが、よろしくお願いします。

 

インド人には、本当様々な人がいます。

やせ細って骨が浮き出ているような人から、大柄な人、身なりがよく裕福な人、それぞれ、天と地ほどの雰囲気の差があるのがここインド。

 

この方は、仕立てのいいスーツをしっかり着こなす、つかみどころのないキレ者ビジネスマンであることは間違いありません。

Aさんはこの会社のファウンダーの1人として働いています。

 

この会社は、周辺のお店の商品情報を画面上で一覧表示してくれるサービスを提供するスタートアップ。

伺った際は1ヶ月後にサービスをローンチ予定で、6ヶ月前に始まった新しい会社です。

今はまさに大詰めの時期。各地でのプロモーションの準備や、プロダクトの最終チェックなどに追われる日々だそうです。

 

以前まで出身の街で自身の事業を手掛けてきたAさんは、バンガロールに来てまだ日は浅いと言います。

A:人生の中で、バンガロールという街でチャレンジがしてみたかったんです。インドのITの中心地で、最先端に触れてみたかった。一生1つの会社で働くという、昔までのモデルコースはここには存在しませんから。

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WTC内部

 

80%の学生が、プログラマーになる!?

潤p:元々、マーケティングをやってきたんですか?

A:実は、僕も元々は、大学でエンジニアリングを学んでいたんです。しかし、卒業後、結局自分がプログラミングに興味がないことに気がついて、マーケティングのフィールドに移りました。

 

多くの社会で、人生のモデルコースのようなものが存在します。ここインドでは、IT技術者になることは、間違えなく人生における王道。

当時のことをAさんは、振り返ります。

 

A:知らず知らずのうちにその王道に乗っかるべきだと思い込んでいたんですね。皆んながプログラマーになるもんだから、自分もと。ある意味職業選択の自由が狭まってしまっているという問題もあると思います。

 

この背景には、インドが国策としてIT立国を目指していることが強く影響しています。

理工系大学の数は桁違いに多く、Aさん曰く、60マイル四方に400校の大学と専門学校がひしめいていると言います。

 

技術者に対する国の奨学金制度も整い、プログラマーになる長男には助成金が特別に付与されるという制度があったり、

何より、IT業界で働くことは他の仕事よりも給料が良いため、親は積極的にプログラマーにさせる。

 

他にも、英語が第二公用語であること、アメリカと昼夜が逆転していること、カースト制度から逃れられる理由として、など、有名な理由は幾つかありますが、インドでは、プログラマーには、なろうと思えば誰でもなることができる環境が整っているのです。

 

しかし、Aさんは、大学時代の自分の経験も踏まえて、社会の一般的な流れに流されて、自らの意志決定でない環境による要因で将来を決定するインド人の若者が増えてきていることに強い危機感を感じています。

 

A:結局、自分のようにエンジニアリングを学んでもプログラマーとして働かない人も多くて、学生の学んでいることと仕事のミスマッチが起きています。95%の学生は何がしたいか、大学入学前にわからないでいますから。

 

そんな自分も経験した失敗を下の世代にさせないために、以前は地元で、学生支援の会社を運営し、本当にしたいことを見つけさせる手伝いをしていたと言います。

 

将来の職は違えど、僕も日本で覚えた問題点が、これだけ急成長を迎えるバンガロールにも起きているのだという事実に、驚かされます。

 

A:ちなみに、80%ほどの学生がプログラマーになるインドでは、それ以外の仕事、例えばアーティストなどの分野がとても弱いのも問題です。文化的な側面の成長が、これからの問題にもなるかもしれません。

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*グラウンドも併設される

絶対的、学歴社会、インド!

潤p:インド人の大学生は、どういった基準で将来の会社を選んでいるのですか?

A:完全に給料です。やりがいや環境は二の次。

潤p:企業側は、どうやって学生を選んでいるのですか?

A:これもシンプル。完全に学歴です。職歴はあまり問われません。特に新卒者では、しかし、中途でも学歴が最も重要です。

 

プログラマーの全体数があまりに多いインドでは、ふるいにかける方法は学歴という一元的な測りで見てしまうのが最も手っ取り早いのです。

 

A:アメリカなどの国では、高位学位は働いたあとに取得するのが一般的ですよね?でもここバンガロール(インド)では、大学卒業後仕事につけなければ、マスターに、またつけなければドクターに、みたいなのは当たり前です。学歴が高ければ高いほど、いい仕事につけるんです。

 

新卒者に学歴は問われますが、それ以上の学位を求めない日本的な社会では、信じがたい事実です。日本では修士号とるだけで、就活に不利になりさえするなんて噂を聞いたことがあるほどです。

 

もちろん、それだけ高学歴化が進めば、子供たちは経済的に親に依存しなければなりません。そのため、35歳まで親に面倒を見てもらうのは当たり前というカルチャーがあるんだと。

ある程度の年齢になっても、家族と同居している人は非常に多いここバンガロール

 

学歴が命。ある意味、長い年月のかかるインドの就活戦争は、日本よりもはるかに厳しいかもしれません。

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*オフィスからの眺め

スタートアップの、社会的な意義とは!?

Aさんは、さらに、スタートアップの魅力について語ってくれました。

潤p:Aさんはスタートアップの会社を半年前に立ち上げたわけですが、スタートアップという形態でビジネスに挑むこととは、どういったことなのですか?

A:僕はスタートアップが、インドの社会をひっくり返す力を持っていると信じています。例えば、airbnbを考えてください。シェアリングコミュニティの成熟で、今までとても高価だった宿泊というものが、より低価格に、より手の届きやすいものになってきた。一方に利益があるだけでなく、双方に利益を生み、社会に還元できるこのエコシステムに強い魅力を感じています。そして、もう一つ、そんな世界を変えてしまう力を、ごく少人数で、短期間で生み出せてしまう。面白いと思いませんか?

 

従来の企業理念とは考えを異にするスタートアップ。

スタートアップの働きとは、単純な利潤を生み出すことだけを目的にするものでなく、社会に利益を還元し、従来の環境を打ち崩していく試みだと、Aさんは意気込みます。

 

特に、ここインドでは、そのスタートアップが生み出せる可能性は大きい。

貧困と格差の蔓延するこのインドだからこそ、スタートアップの起こせるイノベーションの幅は、限りなく広いのです。

 

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これまで日本も含めて、「スタートアップで働く」ということに触れてきましたが、Aさんはそれを人生のモットーとして、スタートアップという存在の真意を聞かせてくれた気がします。

 

単に働くことだけではない、働くことで、社会を変えていく。

つまり、自分のモットーを働くことで実現し、そのモチベーションをそこから得て日々精進する。

その考えは、働いて生きていく全ての人たちに参考になる生き方であるように、感じるのです。

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