潤pの、就活やめて、世界一周することにしちゃった。

2016/4/15から始まった、世界中の「働く」を探るプロジェクト! 日本の「就活」と「働く」ことに息苦しさを感じた「現役就活生」潤pが、世界の同世代と出会い、就活事情と労働環境、そのライフコースを取材、配信し、 帰国後に電子書籍化するプロジェクト。

【日系ブラジル人ってどんな人?】日本語が話せない「日本人」が教える、苦しみを希望に変える生き方とは?

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地球の裏側に、世界一の日本人街があるって、知ってましたか!?

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上の記事でもご紹介しました、ブラジルのサンパウロには、世界一の日本人街、リベルダージという場所があります。

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遡ること、100年以上前、奴隷制廃止による労働者不足に悩むブラジルと、貧困が拡大する農民層の受け皿を探す日本とが合致し、日系移民がブラジルに送り出されるようになりました。

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様々な苦難を乗り越え、ブラジル農業を支えてきた日系ブラジル人

そんな日系移民は今や3世、4世となり、今もこのブラジルの地に多くブラジル国民として生きています。

 

今回は、そんな、日本人の血を100%流しながら、ポルトガル語を話し、ブラジル生まれブラジル育ちの1人の男性に、その人の人生から見えたブラジル、聞くことができました。

 

日本語が喋れない、日本人?

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*ダニエル(写真左)

 

日系3世のダニエルは、相手の意見をとても尊重してくれる、物腰のやわらかな人です。

 

これまで様々な企業でマーケティング職を経験し、現在は短期的にフリーランスとして広告の仕事をしています。

ブラジルの名門、サンパウロ大学を卒業した彼は、その後フランスの大学院でビジネスを学び、そこからコロンビアで就労、現在ブラジルに戻ってきてフリーに、というような異色なキャリアを持っています。

 

ポルトガル語、英語、フランス語、スペイン語を流暢に話すという彼ですが、実は日本語はほとんど話せません。

 

ダニエル:小さい頃、10歳まで日本語学校に通ってたんだけど、父親が日本語にあまり積極的ではなかったんだよね。でも、おばあちゃんは日本語を積極的に覚えさせようとする人で、小さい頃は、「行ってきます」「いただきます」「ごちそうさま」「ただいま」は必ず言わされていたんだ。

 

日本食をいつも作ってくれた祖母を懐かしく思い出すというダニエル。

2人いる祖母それぞれのカレーの味が、1人はドロドロ系、1人はサラサラ系だったなんて話を笑顔で話してくれました。

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*サーモンの皮握り。ブラジルの定番寿司だそう。

 

ダニエル:ブラジルに日本人はとても多いんだ。日本人の少ない地域でも、ブラジルに日本人が多いことはブラジル国民誰でもが知ってる事実なんだ。

 

移民の歴史の浅い韓国人や中国人は、現在2世あたりが多いのに比べ、日系移民は3世、4世、5世も生まれる時代になっていると言います。

  

ダニエル:日系人は基本学力が高いと思う。元々移民で貧しくて、地位的にも下にあったから、学力でのし上がることを考えたんだ。僕のおじいちゃんの一番の夢は、孫たち(ダニエルたち)を国で一番優秀なサンパウロ大学にいれることだったんだ。

 

結果、兄弟ともにサンパウロ大学に入ったそう。

教育熱心な家族が多いために、日系ブラジル人は英語が話せたり、学歴が高かったりするようです。

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ブラジル人って、、、誰!?

ブラジルに来て、いろんな人と会うたび思うこと、

 

「私の家族はポルトガル系なの」

「僕にはドイツ人の血が入ってるんだ」

「俺の祖父はスペインで、祖母はイタリアからなんだ!」

 みんなそんな調子。

 

え!?ブラジル人って誰なの!?

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ダニエル:ブラジル人って何者かって、うーん、多分固定の定義が存在していないんだ。そこが特徴だと思う。例えば、アメリカ人が自分をアメリカ人だと思うのは、アメリカの持つ世界的なブランド力とか、世界的大企業が多かったりってことがあるからだと思うんだけど、ブラジルにはそういうのがないから、自分がブラジル人だぞ!って強いアイデンティティを持ってる人って、少ないと思う。

 

だからこそ、日系移民たちが自分たちの居場所を見つけ、世界的にも長い歴史の中で居住圏を拡大できたのでしょう。

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*イタリア系ブラジル人のairbnbホストファミリー

 

ルーツを探り、コンプレックスと向き合った日本旅。

そんなダニエルは今年の初め、初めて日本に行ったといいます。

ダニエル:自分のルーツを探って、自分が何者か知りたかったんだ。自分は100%日本の血が流れていながら、自分は西洋的な思考を持って育ってきた。ずっとそこに違和感を感じていたんだ。

 

小さい頃から白人至上主義の格差社会に育ってきて、常に自分は白人には届かないという劣等感の中で生きてきたと語るダニエル。

しかし、日本に来た瞬間、誰もが同じ顔をして、ブラジルとは全く異なる価値観の中に生きていることに驚かされたと言います。

 

ダニエル:その体験があって、初めて自分を認められるようになったんだ。そしてその時同時に、肌の色や見た目ではなく、自分のアイデンティティはブラジル人だってことにも気がついたんだ。

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自分が変われば世界は変わる。

もう1つ、日本に行って気づいたことがあるといいます。

ダニエル:自分のルーツと対話して今思うのは、自分の人生を変えられるのは自分だけだってことだね。世界は変わってくれないし、自分の都合のいいようには世界は動かないんだ。でも、自分の頭の中が変わった時、同じ世界を違う形で見ることができるようになるでしょ。その瞬間が、人生が変わる瞬間だと思うんだ。

 

これまで、自分の出自に関する劣等感に悩まされてきた彼。

今は、それを受け入れて生きているんだと語ります。

 

潤p:実は、もうすぐ日本に帰るのが少し不安なんだよね。日本社会に馴染めるかみたいな。。。

ダニエル:それこそ、潤pはこれだけ世界を周って、全く新しい価値観にたくさん出会ってきたわけでしょ? いろんな生き方を知ったわけでしょ? 日本に帰っても、もう潤pから見えている日本は1年前の日本とは違う場所なんだ。だから心配する必要はないと思うよ。

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ブラジルの政府は、昔から腐りきっているという彼。

汚職があり、変わらない格差があり。

 

ダニエル:日本でも汚職はあるけど、日本の場合は、まだお金があって、国民の人生が保証されている中でのものだから被害も少ない。けどブラジルは、お金のない国民からお金をとるわけで。例えば医療保健がほぼなかったりね。だから先進国の汚職と、この国の汚職とではわけが違うんだ。

 

このような環境で育った彼だからこそ、自分を変えなくてはならないという発想が生まれたのではないでしょうか。

どんなに辛い状況でも、自分が変われば、角度が変われば、素晴らしいことになるかもしれない、そんな思いをダニエルから感じます。

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ダニエルの未来。

潤p:今後はブラジルで働くの?

ダニエル:ブラジルで働く? 経済危機のこの国で仕事を探しても、もう当面は意味がないと思ってる。

 

自分のアイデンティティと対峙しながら出した答え、それがダニエルのライフストーリー。

 

潤p:ダニエルの夢はどんなもの?

ダニエル:夢ってしっかりしたものはないかなぁ。常に、毎日毎日変化していく自分と対話しながら決めていきたいと思ってる。

 

変化するブラジル。新しい世界を造る突破口!?

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そんな中、面白いことに、最近ブラジルでは美意識に変化が訪れつつあるそうです。

 

日系人の2人の女性が、今ブラジルで大人気らしい。

白人至上主義の価値観から、それ以外の美も認めつつあるという社会潮流にあるといいます。

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確かにブラジル社会の根底には人種格差の構造があるのかもしれませんが、ブラジルで感じたのは、それをも突き抜ける明るさ。

誰でもどんな人でも許容してしまうような明るさが、この国の魅力だと感じました。

 

この事実としての多様性と、まだ不安定で決まりきった形が存在していないこの国のムードは、もしかしたら新しい世界を造り出す突破口になるのかもしれません。

潤pはこの絶望的な環境で、底抜けに明るいこの国が大好きです。

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