【今、ベネズエラで何が起きているのか?】亡命者が語る、1日に50人が殺される国の現状。
ベネズエラの恐ろしい状況、知っていますでしょうか。
独裁政権によってコントロールされるこの国は、今、1日に50人が殺される治安状況と(*以下記事参照)
チョコレート1枚買うだけで最高額紙幣が10枚必要なほどの、ハイパーインフレーションを迎えています。
多くの国民が国外逃亡し、国内は犯罪に溢れた無法国家状態。
そんな状況から逃れてメキシコにやってきたのが、メキシコ滞在中のairbnbホストのベネズエラ人カップルだったのです。
名前:カルメン(写真右)
年齢:29歳
職業:グラフィックデザイナー
名前:アレックス(写真左)
年齢:38歳
職業:グラフィックデザイナー、フォトグラファー、ミュージシャン
カルメンとアレックスは、メキシコシティに住むオシャレなクリエイターカップル。
気さくで冗談好きの明るい2人です。
*可愛い部屋
滞在中、一緒に料理を作っては、毎晩呑み明かすような日々を送らせてもらい、最高のairbnb体験の1つになりました。
近所には同じベネズエラ出身者も多く、友人たちも集まる賑やかな暮らし。
しかし、そんな優しく気さくな姿からは想像もできない壮絶な人生を、彼らは背負って生きてきました。
スーパーに、食べるものもない。
カルメン:今のベネズエラは、最悪の状態にあるの。社会主義政府のせいで、国はめちゃくちゃ。ほとんどの人が国から亡命していて、私たちの友達も1人をのぞいて全員ベネズエラを出たの。でも最後の1人も、来月メキシコに来るんだけどね。
低迷する経済に悩まされていたベネズエラでは、貧困層が社会主義に希望を見出し、独裁的な社会主義政府が誕生しました。
しかし政府はその後、暴走を始めます。
*飼い犬のベタマックス
カルメン:一番の問題は、ハイパーインフレーション。食料を買いに行くためだけに、リュックいっぱいに札束を詰め込んで行かないといけないの。でも、スーパーに行っても食料が全くなくて、生きていくことすらままならないような環境なの。
ベネズエラの一番の輸出品、原油の価格が下落したことと、政府の経済政策の失敗により、700%にもなるインフレ率となっているベネズエラ。
経済破綻寸前の政府は、海外から食料を買うこともできず、スーパーにも食料品はほとんど並んでいない。
また、買い物をするためにIDの提示が必要で、食料の購入でさえ、厳しく国に管理されています。
カルメン:ベネズエラ人がメキシコに来て、必ず驚くのはスーパー。皆んな、こんなに食べ物があるスーパーってあるんだぁってね(笑)。
*鍵のついた扉が2つある、2人のアパート。
ギャングが統治する、無法国家ベネズエラ。
さらに深刻なのは、犯罪率の問題。
強盗は日常茶飯事で、カルメンはこれまで3回、カルメンの友人は5回強盗にあっているといいます。それも銃を突きつけて脅されるもの。
カルメン:だからベネズエラ人は、今まで何回強盗された?なんて話で盛り上がっちゃうの(笑)。
信じられないような話ですが、政府機能がほぼ崩壊している政府は、地域自治をギャングに任せるようになったといいます。
裏では政府がギャングに武器を流しているとも話していました。
世界が恐怖で支配された、信じがたい世界です。
アレックス:最近はギャングですらも、国外に逃げているんだ。犯罪者ですら生きていけない国、もうどうしようもない国になってしまったんだ。
ベネズエラのギャングが国外逃亡したために、近年周辺諸国の治安が著しく悪化したというのです。
その結果、ベネズエラ人に対する入国が厳しく規制され始めるようになったと言います。
*連れて行ってくれたベネズエラ料理。
孤立するベネズエラ。
ベネズエラは、実は石油埋蔵量世界一の国。
それでも国は貧困状態。
政府は諸外国に対して、お金の代わりに石油で支払いをしているらしい。
カルメン:他の国も石油が欲しいから、ベネズエラの状況を知っていながら無視しているの。無能な政府が石油を持ってしまったせいで、国民の首が絞められている。
国の管理体制は厳しく、海外メディアは入国拒否。
国の全てのメディアは政府と癒着しているために、報道は偏向報道だらけ。
どんどん世界から孤立して行くベネズエラ。
シリアが今世界から注目されている影で、実は地球の反対側では恐ろしいことが起こっていたのです。
亡命して、働いて、生きていく。
アレックスもカルメンも、他のメキシコ在住のベネズエラ人の友人たちも、
それぞれに新しい生活をメキシコでスタートしています。
カルメン:デザイナーの仕事は自由で楽しそうでいいねって、よく言われるの。でも、外国から来て、ビザを取るのも大変で、仕事するのはもっと大変で、メキシコ人の何倍も努力して私たちは生活しているの。だから、本当は、決して楽しい生活なんかじゃないの。
声を震わせながら、カルメンは言います。
アレックス:ベネズエラはね、本当に素晴らしい国なんだ。綺麗な海にビーチ。もし、いつか僕の国が落ち着いたら、潤pにもあのビーチを見せてあげたいなぁ。
遠くを見据えながらアレックスは言います。
カルメン:実は、私の母親は、まだベネズエラにいるの。毎日とても辛い気持ちでいっぱい。でも、母親は「自分の娘を心配しなくていいから、幸せだよ」って言ってるの。この前なんか、「今日久しぶりにチキンが買えたよー!」って笑いながら言ってたの。心が砕けそうになった。でも、私たちベネズエラ人って、そういう人たちなんだと思うの。
2人を含めた、メキシコで出会ったベネズエラ人を見ていて、そんな境遇に置かれている人たちだということが、全く信じられない。
何より彼らといると、毎日本当に笑いが絶えないのです。
カルメン:ベネズエラ人はね、楽しい時にお酒を飲んでジョークを言って、辛い時もお酒と一緒にジョークを言って、なんでも笑い飛ばしちゃうの(笑)。
そう言いながらに彼らは、もう母国に帰れないことを覚悟しています。
潤pには、この目の前にしているあまりにも大きなミスマッチが、理解仕切れませんでした。
ただ、世界には、母国を失い、それでも笑いながら生きている人たちがいること。
日本にいるだけでは知りようもない世界に、また1つ出会いました。