「兵役」と「人の目を気にする」から生まれる厳しい韓国就活。9年間アメリカ留学をした韓国人就活生に聞いてきた。
最近の生存報告。
<ソウルの空港にマサ迎えに行った>
<ソウルの日々の報告>
韓国の就活生に会ってきた。
韓国に来たのは、
振られるためでもなく、
辛いもの食べてケツを痛めに来たわけでもなく、
そう、韓国の、日本に似ていながら全く異なる、
そんな「働く」環境に興味を持ったからなのでして。
会ってきました、韓国の就活生!
韓国の就活の興味深さは、
以前、以下の記事でご紹介した通りですが、
今回はさらに、
韓国社会の文化や、
「兵役」にフォーカスして深堀してきます。
名前:Kevin
年齢:28歳
職種:大学4年生 就活生
彼の名前もまたKevin。
韓国人は英語名でよくKevinを使うのでしょうか!?
彼と繋がれたのは、上の記事の方からのご紹介です!
13歳から9年間のアメリカ留学経験。
それはもう流暢な英語を話すKevinは、
それもそのはず、アメリカで9年間の留学経験者です。
13歳でアメリカへ渡り、帰国したのが22歳頃。
Kevin:うちの家庭は一般的なサラリーマン家庭だから、裕福な他のまわりの留学生達とは、あんまりうまくやれなかったんだよね。笑
でもそのおかげで、アメリカ人達と仲良くなって英語が上達したよ!笑
教育が盛んなことで有名な韓国。
多くの親が子供へより良い教育を身につけさせるため、海外留学を勧めます。
しかし、それはもちろん裕福な家庭に限られること。
一般的なサラリーマン家庭で育ったという彼にとって、
同じく留学に来ていたまわりの裕福な韓国人達とのギャップは大きかったといいます。
しかし、13歳という、日本でいったら中学一年生という年齢から9年間もアメリカで過ごしたことで、
彼のマインドは完全に韓国の既存のそれではありません。
話していても、そのインターナショナルな思考が垣間見える。
兵役というカルチャーギャップ。
アメリカの大学をやめ、
Kevinが帰国した理由は兵役の存在です。
日本でも有名な話ですが、
韓国では19歳~29歳までの間に、
男子は軍隊に1年と10ヶ月入隊することが義務付けられています。
Kevinは22歳から、入隊し、その直前に韓国の大学へ転入しました。
潤p:軍隊にいた頃のことを教えてくれる?
Kevin:正直、ほとんど覚えていないんだ。毎日データ管理の仕事ばかりで、普通、訓練して、仲間と絆ができて、とか言うんだけど、僕の所属したところはそうゆうところじゃなかったから。
データ管理系の仕事に従事していたというKevin。
アメリカから帰国してすぐにスタートという兵役。
そのあまりの文化の違いに、
軍隊生活ができないほどに当初大きな戸惑いがあったそうです。
30歳前後で新卒が当たり前。Kevinの就職は?
お気づきでしょうけれども、Kevinは現在28歳。
それで就活生!?
しかし、韓国人の男性では、
30歳前後の新卒就職が当たり前です。
兵役のブランクと、多くの人が休学を在学中に経験することから、
日本では考えられない年齢で就活となるのです。
ちなみに女性は日本とほぼ変わりません。
Kevin:韓国の大学の平均年齢が、世界で1番高いと思うよ笑
潤p:Kevinはどんな仕事をしたいの?
Kevin:通信会社だね!就活は、ほぼ1つに絞ってるよ。もちろん、100社とか絞らずにたくさん受ける人もいるけどね。実は、兵隊文化が嫌いで、当初は韓国の会社に絶対行きたくなかったんだ。でも、今絞ってる会社は韓国で1番イノベーティブな会社って言われてて、韓国式の文化もない会社なんだ。
兵役が影響を及ぼすのは、
就活年齢だけではありません。
韓国で生きるにあたって、
兵役はその人生に常に大きな影響を及ぼします。
例えば、会社。
会社文化も軍隊の名残を受け継いで、
厳しい上下関係に成り立っているといいます。
韓国のドメスティックな環境に馴染めないと思ったKevinらしい就活スタイルです。
シェアの文化が作り出した、過酷な韓国の就活
Kevin:自分の頃は小さい子供は外で遊んでいたけど、今の子供は勉強ばかりしてるよ。
厳しい受験戦争。
大学のレベルが社会的に大きく問われ、
そのあとの韓国社会での人生を決定します。
その上に、さらに就活戦争。
前の記事でも紹介した通り、
韓国人学生は、人よりも少しでも上のスキルを身につけるために、
在学中に休学を使って様々な体験をすることが一般的です。
Kevin:いい大学にいけなければいい会社にいけないのはもちろん、人から見られる視点も大きく変わる。韓国社会はものすごく人の目を気にする社会だと思うよ。学歴とか、だから外見がどう見られているかって整形したり。
潤pが韓国の滞在で最も感じたのが、
ここは人との関わりをものすごく重要視する社会であること。
お酒の飲み方1つから、
相手へのシェアの文化など、
やたらと人と人との繋がりを重視する場面に出くわすことが多いんです。
いい意味では人好きで、とってもあったかい社会なんだけど、
おそらくこの背景が影響して、
他者と自己との比較だったり、
見栄の文化のようなものが生まれてきたんだとおもうんです。
実は、最近、そんな社会に疲れたのか、
韓国では「1人でしか行けない」カフェやバーが流行っているらしい笑
韓国式・人の目の気にし方と、日本式・人の目の気にし方。
面白いことに、Kevinはこんなことを言いました。
Kevin:日本で電車の中が静かだったのに、驚いたよ!
あれ?さっき人の目を気にする文化って言ってなかったっけ。
ここでわかったのは、
韓国社会での人の目の気にし方と、
日本社会の目の気に仕方は全然違うということ。
日本もものすごく人の目を気にする文化だと思うけれど、
日本は、自分と関わりもない他者も合わせた社会の中で、
自分が社会不適合者だとみなされるのを恐れる文化。
韓国は、強力な絆の中にある親しい関係の中で、
相手により良い自分を積極的に見せていく文化。
な感じがしています。
同じく人の目を気にするけれど、
その社会が異なることと、
気にして、隠れるか、
気にして、ならば突き抜けるか、
みたいな差なような気がします。
おわりに
彼がくれた彼なりの「活」は、
「My dream is to experience all that I can, fully and happily.」
彼の志望する会社のように、
韓国の就活も少しづつ変化してきているそうです。
形は違えど、未だ大きなプレッシャーに苛まれる就活生の姿は、
日本のそれと強く共鳴します。
いつか自分の会社を持ちたいというKevin。
彼のような人が韓国の将来を変えていくのでしょうか?