インド最大のスラム街、ムンバイのダラビ、スラムツアー行ってきた。
スラムドッグミリオネアという映画、ご存知でしょうか?
アカデミー賞を受賞した作品。
インドのスラムで育った若者が、テレビショーのクイズミリオネアで勝ち上がっていくというストーリー。
劇中、インドの惨たらしい生き方や壮絶な人生が描かれて、こうゆうエグめの映画が好きな潤pにとっては、かなりツボな作品なわけで。
まぁ、映画の内容はやりすぎだとか、あれは本当のインドじゃないとか、批判はあるものの、個人的には大好物な内容。
そして、その主人公が育ったスラムの舞台というのが、まさにこのムンバイにある、インド最大のスラム街、ダラビという場所なのです。
これがムンバイにやって来た、大きな目的なのです。
スラムツアーに参加してみた。
以前、こんな記事でお伝えした通り、インドで見てみたいのは、インドの「頂点」と、「最底辺」。
「頂点」は、たーくさんバンガロールで見せてもらえましたので、ムンバイに来た理由は、では、インドの1番下とされる場所で生きる人たち、生きる若者の人生とはどんなものなのか、それを探ろうというわけです。
しかし!スラム街とは、観光客がカメラぶら下げてプラプラ町歩きできる場所ではないことは百も承知。
どうやってそこに入って行こうか考えていると、こんな団体を発見。
Reality Tours and Travel というNGOが、スラムツアーなるものを運営しているらしい。
*Reality Tours and Travelのオフィス
正直、とても引っかかるものがあります。
スラムツアーかぁ、それって、なんかとても違和感あるような??
スラムに住む人を見世物にして、リッチな観光客からお金を取るというシステムに、とても引っかかってしまう潤p。
動物園でもあるまいし、と。
しかし、他にスラムに入る方法がわからない自分は、意を決してツアーに参加。
してみると、これまた素晴らしい出会いに恵まれるのです。
スラムに足、踏み入れてみた。
スラムツアーは、駅でガイドの方と待ち合わせて行くグループツアー。
他に、イギリス人、南アフリカ人、中国人の面々でのツアーです。
ガイドさんは、写真家として活動しながら、スラムの学校で子供達のアートの授業も担当する上の方!
さて、ついに足を踏み入れます。
写真撮影は基本NGなので、撮影OKだったスラムの入り口からパシャり。
ここから、この広大なスラムに入っていきます。
まず、スラムのメインストリートを歩きます。人通りも多く、活気にあふれている印象。商店や屋台が軒を連ね、驚くのが全て、ムンバイ市内の半分以下の値段で売られていること。
そんなメインストリートの横道に入ると、小さな工場が大量に密集しています。
そう。このダラビスラムのメイン産業といえば、プラスチックのリサイクル産業。
ムンバイ中からプラスチックが集められ細かく分解、それを溶かして、再加工、様々な製品に変わっていきます。
工場も見学。貧相に見える機械ではありますが、製品を生産するしっかりとした工場として機能しているようです。
しかし、環境は悪質だそうで。危険な作業を伴うにもかかわらず、防護服やグラスもなく、素手で仕事する作業員たち。事故も頻繁に起こると言います。
*大都会ムンバイから、電車でスラムに向かいます。
ここで働く人の多くは、ムンバイの外からやって来る出稼ぎ労働者。そしてその多くが農業従事者です。一年中スラムに住んでいる人は、むしろ少ないわけですね。
冬のオフシーズンにはこうして街にやって来て、もちろん市内では職探しは難しいので、このようなダラビの工場が働き口になっていきます。
これらの工場のほとんどが、労働者に住む場所も同時に提供しているので、昔からこのスラムに根付いてきました。
1日の稼ぎは、200~300ルピー。日本円で¥400ほど。安いインドの物価から考えても、かなり少ない賃金と言えます。
ちなみに実は!最近、このダラビ発のブランドが誕生しました。
https://www.linkedin.com/pulse/dharavi-brand-name-sumedha-raikar-mhatre
その名も「Dharavi」という名前の革製品ブランドです。
海外でも人気が高まり、ダラビの高い皮加工技術と合間って、人気を呼んでいます。
行ってみて気づく、本当のスラム。
このダラビの興味深いところは、まさにインドの縮図のような場所であること。
多言語、他民族であるこのインドを、小さな区画に押し込めると出来上がったのがダラビです。
そこには、当然ヒンドゥー教徒に、ムスリム、クリスチャンや、他にも様々な宗教。さらに、多種多様な言語に、インド中から集まる出身者、さらに国外からも。
歩いていても、場所ごとに地区が分かれていて、その雰囲気や人の様相の違いが移り変わって行くのです。
今回のスラムツアーに参加して、当初抱いていたスラムツアーへの抵抗意識は大きく改善されました。
というのも、この団体のポリシーや個性がとても共感できるものだったからです。
まず、この団体を構成しているのは、スラム出身者か、ムンバイのそれこそスタートアップで活躍する現役のビジネスマン、アーティスト達であること。
そんな若い力が生み出す問題提起と、ありのままのスラムを世界に発信しようという取り組みのもと活動している団体です。
何より、スラムを動物園のような演出で見せてくれるわけではなく、そこで働く人々として、ありのままの姿を見せてくれること。
REALITY TOURSという名の通り、スラムのリアルを見せてくれたところが一番大きいような気がします。そのリアルとは、必ずしもスラムが「地獄絵図」ではなく、そこにはそこに生きる人たちの生活が当たり前のようにあるというものでした。
いい意味で、僕の当初の「スラムドッグミリオネアの世界が見たい!」という希望が壊されたツアーだったのです。
当然、このツアーでスラムの全てをわかるはずもありませんが、そんなことを感じたのです。
インドは、酷いまでに人間の全てがさらけ出されている場所です。
スラムという存在があって、農村部の人の働き口となり、資源の再生産を担い、こうして社会を回しているのかと思うと、やはりインド、なんて手に負えない国なんやと思うわけです。
そんなこんなのツアーでしたよと。