やっぱ、ちょっと、アラビア半島、寄ってくことにするわ。魅惑のアラジンワールド旅、スタート!
ついこの間まで、中東と聞いて潤pが思い浮かべるイメージは、
原宿のめっちゃ通行人に絡みまくってるあのケバブ屋のおっさん
ということでしかなかった。
おそらく、この地球上数あるエリアの中で、最も自分から遠い気がする場所、中東。
ケバブ?イスラム教?砂漠?戦争?危ない!?
そーんな薄っぺらぁいパッと頭に浮かぶような知識しかない、それが潤pにとってのミドルイーストであったのです。
しかし、バングラデシュ、インドを越えた今、潤pにはとてつもない中東への興味が、ふつふつと湧き上がってきているのです。
興味の始まりは、一冊の本。イスラム教に関する、分厚い学術書。
潤p、何事も、先入観をまず疑ってみようというモットーで生きてるもんですから、この世界中からテロリストとレッテルを貼り付けられている宗教の真意をしっかり学んでみようと思ったのがキッカケでした。
その結果わかった一番のこと。
この宗教が、戦争したがりでも、自爆魔でも、陽気なケバブ屋さんでもなく、極めてシンプルな、平和の宗教であるということ。それがなんとなくわかったのです。
さて、ムスリムの国バングラデシュにやって来て、人生初めてに、イスラム教徒と深い関わりを持ちました。
寛大で、親切で、異国人異教徒の自分をも、寛大に受け入れてくれる彼らと過ごすことで、以前本で詰め込んだ知識が、経験として身体に取り込まれていきました。
昔までなら、ムスリムが食べるハラルフードって何?みたいもののだったのが、今では彼らの料理も喜んで食べますし、
昔までなら、黒いベールに身を包んだ女性を見るや否や驚いていたものが、今では適切な距離で歩くことができるようになりましたし、
昔までなら、突然お祈りの時間が始まったらドン引きしていたものも、今では黙って終わるのを見届けることができるようになりました。
そして気がつけば、この道の宗教に、強烈な興味を抱き始めるのです。
特に、世界中の宗教を取り込んで、無宗教に近い生活を送りながら、ベースには自然への恐れと感謝からなる多神教のアニミズム信仰を持つ日本人とは、一神教の上に神への絶対的な服従を誓うムスリムの世界は、180度異なることに、一番の興味を覚えたのです。
同じ地球に同じ人間として生まれながらに、違う世界に生きる人たちって、一体何者なのか!?
ということです。
さて、そんな気持ちでふらふら生活していると、あるバングラデシュで出会い仲良くしていただき祀った、超ハイパー金持ちのカタール人坊ちゃんが、こんなことを言うんです。
坊ちゃん:潤pはさぁ、この後どこ行くの?
潤p:んー、アフリカかな!ドバイにはほんのちょっと寄るけど、すぐにアフリカを目指そうと思うよ。
坊ちゃん:え!?アラビア半島すぐ飛ばしちゃうの!?それはもったいねぇ。あんな面白い場所はないぜ。俺らのホームグラウンドにも是非寄りなよ!
確かに、世界のイスラム教の中心地である場所を、見てみたい気がする。そして、潤pは無類のアラジン好きだ。
潤p:やっぱ、そーすっと、カタール?
坊ちゃん:ドバイは行くんだろ?カタールもすごくいいとこだけど、ドバイとやっぱり似てるところがあるからねぇ。そうだ、オマーンはどうだ!?
潤p:オマーン、、、??
全く想定外の国。行くことを予想もしていなかった国。一体何があるのか。
それからと言うもの、彼のオマーンプロモーションが長きにわたり始まった。
砂漠とオアシスの織りなす自然がめちゃめちゃ美しいとか、
カタールやドバイには無くなった昔ながらのアラビック世界が残ってるとか、
オマーン人が優しいとか。
知らず識らずのうちに、未知の国オマーンへの妄想に妄想が膨らみ、頭の中は魔法のじゅうたんを乗り回す主人公潤p一色となっていくのです。
彼はネズミ講をやれば必ず成功すること間違いない。
ちなみに、そこまで話に惹きつけられたのは、彼と言う存在も大きく関係していました。
実家はカタールにあるけれども、20代半ばで、ここバングラデシュに新たなビジネスチャンスを見つけにきたという。
ちょうど潤pが泊まっていた民泊のお隣さんで、何度か家にも招待してくれていたのです。
もともとカナダの大学出身。卒業後、建設業を営む父親の仕事の手伝いをするが、独り立ちしようと、こうして自分のもう1つの故郷であるバングラデシュにやってきたのだそう。
一言、彼はハイパー金持ち。
父親は石油王ではないにしろ、彼の生活ぶりを見れば一目瞭然。
広い警備付き豪華マンションを弟と2人で貸切。
仕事探し中とはいうものの、基本的には浪費の限りを楽しんでいるように見えまして。
酒も飲むし、めっちゃゲームしてるし、何より悔しいほど彼女が美人なのです。
弟は弟で、熱狂的なゲーマーで、ポテチとコーラ片手にレースゲームで爆走している姿は、なんとも言えない貫禄がある。
今は、どこの大学に行こうか検討中らしい。
なんだこれは。あまりに以前、あの分厚い学術書に書かれていたムスリムの暮らしとは異なりすぎる。
怪訝で、真面目に慎ましく生きるムスリムの姿は彼らからは少しも感じられないのです。
あの聖地のある半島に暮らす若者たちは、一体どんな人生を歩んでいるというのだ。
そんな衝撃が、潤pをアラビア半島の謎の国、オマーンへとひた走らせるのでございます。
さて、潤pの旅、中東編がここにスタートしたのであります。