ムスリムの家でディープな民泊。オマーン人イスラム教徒の、人には秘密の夜の遊び。
基本的にどの国でも、民泊に滞在しているわけですが、オマーンでも、民泊に泊まろうということになったのです。
いや、むしろ、言うならば、民泊に泊まるしか手段がなかったのです。
つーのも、このオマーンは首都マスカット、まだ観光地化がほぼされていないために、宿泊施設がほとんどない。
安宿なんてないもんだから、あるのは高級ホテルのみ。
そーなると、嫌でも(もちろん喜んでですけども)民泊で宿を探さないと、この貧乏人バックパッカーが泊まれるようなところはないのです。
ムスリムのリアルライフ、一緒に住んできた。
そこで上のような乾燥世界を通り抜けやってきたのが、本日の物件。
実は、首都マスカットから郊外に出た隣町、スマイルというところにある物件でして、なかなかの郊外ライフが楽しめるという物件なのでございます。
着いて出迎えてくれるのは、もちろんオマーン人のホスト。
全身、オマーンの伝統衣装である白いつなぎを着た生粋のオマーン人です。
ホスト:イスラム教徒だからこの格好してるわけじゃないよ。これはムスリムの服じゃなくて、あくまでオマーンの伝統衣装。だからムスリムの国それぞれ、違う伝統衣装があるんだよ。
はじめ、イスラム教徒だからその格好をしているのだというお恥ずかしいミスアンダーンスタンドをしていた潤pに喝。
そういえば、同じムスリムでも、バングラデッシュ人は上下セパレートの伝統衣装だったし、女性の格好もラフだったなぁ。
ホスト:イスラム教はとてもシンプルな宗教なんだよ。基本的には、唯一神だけを信じて、絶対的な服従を誓えば、それで信者になれるんだよ。今、世界中でイスラム教が勘違いされているけれど、本当はとてもシンプルな宗教なんだ。
泊まった場所は、こんなところ。
大きな庭のある、自然に囲まれたお家。
潤pは玄関から入れない!?
そんなホストが、夕食に招待してくれました。
まず、玄関から入ろうとすると、、、
ホスト:あ、ごねん。そこは女性用の入り口なんだ。ゲスト用のこっちの扉を使って!
さすがムスリムの家!奥様が使う入り口は、家族以外の人間がまたぐことはできないのです!
そして、夕食が始まります。
ピタパンのようなものに、ポテトグラタン、オリーブに、もちろんお酒ではなくてお茶。
オマーン人は、夕食は質素に、昼食を豪華にとるそうです。
キッチンからは、奥様の声が。食事を作ってくださっていたそうで、よし、家族団らんで食べ始めるのかな??
ん??奥様、、、来ない???
当たり前っちゃ当たり前、家の中では、女性は人前に姿をあらわすことはほとんどありません。
お父さんであるホストと、子供達と食事がスタートです。
それだけ女性は、家族の中で守られた存在なのです。
ムスリム達の、夜の秘密基地。
夕食が終わると、ホストさん。
ホスト:よし、じゃぁ秘密の場所に案内してあげる。
車に乗り込むと、車はどんどん暗闇に進んでいきます。
もちろんここは砂漠地帯。住人は固まって住んでいて、あとは、砂地の荒野がひたすらに広がっています。
車がついたのは、本当に月明かりしかないような暗闇の、どこかの荒野の一角。
車のライトで照らされた先には、複数人の男が座っています。
ホスト:ここが、僕たちの隠れ家なんだよ。
目が慣れてくると、なんとなく皆んな椅子やシートに座りながら、ジュースやタバコを嗜んでいます。
ホスト:皆んな、仕事や家のことが済んだら、365日毎日ここにやってきて、談笑するのが、人には秘密の夜の楽しみなんだ。この場所を知ってるのはこの仲間だけ。日中の疲れることは全部忘れて、星の下で語り合うのさ。
もう何十年もこれを続けているという皆さん。メンバーも地元の幼馴染や親戚など、深い関係の人だそう。
気づいたら、まったりとした時間は、日をまたいでも続いてきました。
砂漠に生きる人たちの、砂漠の中で生まれた宗教。
*伝統衣装をプレゼントしてもらいました!
イスラム教は非常に真面目な宗教です。お酒は禁じられているし、娯楽という全てが厳かに極力控えるように考えられています。
特に、イスラム教の中心地アラビア半島に位置する、特に敬虔なムスリムであるオマーン人。
イスラム教義の元、規律正しく生きているわけですが、
そこはやはり人間。そのような環境の中で、彼らが見つけた最高の「遊び」。
これが毎夜の砂漠のピクニックだったのです。
*近所の岩地に囲まれたモスク
ホスト:イスラム教は、いつも死と隣り合わせの砂漠で生まれた宗教だから、歌や詩には、悲しいものが多いんだよ。死や、闇をテーマにしたものがとても多いんだ。
厳しい環境である砂漠で暮らしてきたアラブ人達と、そこで生まれたイスラム教。
宗教はその土地の風土や環境から強く影響されるといいますが、ムスリムとともに生活し、その生き方を垣間見ると、なるほど納得するのです。
いつ死ぬかわからない環境下だからこそ、娯楽を極力禁じて生きることに専念する。
厳しい環境で確実に一家の子孫を守り抜くために、女性への強い保護と敬いを宗教で決定付ける。
これまでの土地で感じてきた、土地に息づく血の通った文化というものを強く感じず、
どこか無機質な感覚をオマーンという国に覚えていたのは、まさにここの全てである宗教、イスラム教が、極めてシンプルな世界を形作っているからではないのかと感じるのです。
いやーやっぱ、本当に違う世界。中東世界!