潤pの、就活やめて、世界一周することにしちゃった。

2016/4/15から始まった、世界中の「働く」を探るプロジェクト! 日本の「就活」と「働く」ことに息苦しさを感じた「現役就活生」潤pが、世界の同世代と出会い、就活事情と労働環境、そのライフコースを取材、配信し、 帰国後に電子書籍化するプロジェクト。

路上生活に虐待に、どん底のスラムの若者は何故、笑顔なのか? - ケニア・ナイロビのキベラスラム。若者たちの希望の「循環」

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アフリカ最大のスラム、ケニア・ナイロビのキベラで出会ったのは、若くして想像を絶するような生涯を背負った若者たちでした。

 

 

現地活動家の早川千晶さんが行うキベラスラムのスタディツアー。

magoso.jp

そのツアー最大のポイントは、積極的にキベラに住む人たちとの交流ができること。特に、早川さんが実際に運営に関わるスラム内の教育機関、マゴソスクールに通う、または卒業した若者たちと出会えるチャンスがたくさんあることなのです。

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こうゆう場所に来ると、いつも驚かされること。

それは、その場所で暮らす人々が、「普通」に生活していること

 

インドのスラムに行った時にも感じたことですが

 

若者たちは、冗談も言えば、笑いもするし、歌い、踊り。アフリカで一番悲惨であるはずの場所に、「幸せ」の1つの形が確実に存在しているのです。

このどん底の世界で、いったい彼らはどうして笑顔で、前を向いて歩いていこうとするのか。今回はツアー中、ここぞとばかりに、番号ゲット、アポイントを取り付けて、キベラの若者たちに話を聞かせてもらいました。

 

それでも、なんとか生き抜くしかなかった - ノノ

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名前:ノノ
年齢:22歳
職業:大学生

 

ノノは、スタディツアー中潤pたち日本人グループに同行してくれた、マゴソスクールの卒業生。22歳の彼は、物腰が柔らかい優しげな青年です。

しかし、そんな姿からは想像もつかない人生を、彼は背負って生きてきました。

 

18歳で両親が死亡してから、彼は1人で生きていくことになりました。

叔父の家へ送られた彼は、その家で虐待を受け、最終的に家を出ることを決意。キベラスラムの路上で生活する日々も続いたと言います。

 

日当330円ほどの日雇いの仕事で食いつなぎ、何とか生き抜くしかなかったと当時を振り返る彼。そんな彼の気持ちは、多分僕には一生理解しきれない。

 

それでも大学進学を諦めていなかった彼。マゴソスクールの支援を受け、ついにその夢は叶うのですが、現実は厳しく。

結局、学校に行くには仕事ができない、仕事をすれば学校に行けないという状況に立たされ、食事すらほぼ取らないままに大学に通うという状況を続けていたようです。

 

現在は落ち着きつつある学生生活も、未だいつ何が起きるかわからない不安の中。

時々Facebookに自身で投稿する写真を見て、潤p自身も胸を撫で下ろしてしまうような現実で、彼はまだもがいています。

 

スラムで育った青年の夢 - オティソ

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名前:オティソ
年齢:19歳
職業:大学生 教育学部 理数科

 

このスタディツアーを通して出会ったキベラスラムの若者の中で、一番に積極的だったのがオティソでした。

溢れ出てくるような好奇心で、様々な質問を投げかけてくるオティソ。そんな快活な彼ですが、彼もスラムに生きる若者の1人です。

 

物心つく前に父親が蒸発、経済力を失った家庭で生活が困難になった彼は、単身、キベラスラムに住む叔父の元に送られました。

今日までこのスラムで生活しています。

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低所得環境に置かれている彼は、これまで学費を自分の力で賄ってきました。マゴソスクールで講師として子供達に授業を教え、そのお金で自らの学費を捻出してきたのです。

 

しかし、高校を優秀な成績で卒業した彼でしたが、問題は収入。

5児の子供を持つ叔父に経済的な余裕はなく、大学に合格していながらに入学費を支払えず、入学を諦めざるをえないという状況に立たされていました。

現在は無事、入学費を支払い大学に通っています。

 

そんな彼の夢は教師になること。

いつかこのマゴソスクールに教師として戻ってきて、自分たちと同じような境遇にある子供達を、教育の面からサポートしたいと強く意気込んでいます。

 

壮絶な人生、キベラに生まれ育った1人の大人として - オギラ先生

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*オギラ先生 写真右 手前から2番目

名前:オギラ
年齢:30歳
職業:マゴソスクール教頭

 

いつも元気に満ち溢れていて、ツアーのサポートもしてくださったオギラ先生は、マゴソスクールの教頭先生。日本語も話し、生徒からの信望も厚い先生です。

 

元気印のような人ですが、8歳で母親が死亡してから、弟を路上で育ててきたという過去を持つ、元ストリートチルドレンです。

ゴミを拾いながら生活をしていたと言う当時を振り返りながら、今に繋がる想いを語ります。

 

オギラ:新しい服を貰った時に、それがとても嬉しくて、人に感謝する気持ちと、人をサポートすることの重要性を知りました。いつもボロボロの服しか着ていなかったから、自分もいつか人をサポートする人になりたいと。

 

マゴソスクールの創業者の女性に拾われた彼は、そこから、勉強に励み、子供達を育てていく立場へと変わっていきました。

 

オギラ:自分の今の仕事は、壊れてしまった人を治していくポジションだと思っています。キベラの子供達の問題は、学力がないこと。学びなくして何もできないと、私は考えています。

 

また、キベラの若者たちへ、

 

潤p:キベラ出身で、実際、その後の人生に影響することはありますか。

オギラ:もちろん、キベラ出身というだけで差別を受けますよ。しかし、そこに立ち向かえるのは学力だけだと思うんです。そして、その核になるのは、どう自分を認めていくか。どうやって自分を変えて、どうやって自分を認めていくか。その2つが重要だと思います。

 

循環

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潤pは昔から、ボランティアやNPOなどの活動に完全なる理解をできない人でした。

それはこの資本主義の原理から動く世界に生を受けた対等な人間として、そこに慈愛のみの精神で救済の手を差し伸べることは、不平等なことなんじゃないかという気持ちからきています。

 

しかし、キベラスラムの若者たちの生涯に触れていると、頭で理解しているはずのことと、心で感じることが、相反する方向に向かっていくのです。

親からの虐待を受けたり、路上生活者になってしまったり、人としての生きる権利を理不尽な力によって阻害されている、そんな環境が平然とあるのがここキベラスラムでした。

 

その日生きていくことが、そんなにも難しいのか。学校に行くことは、そんなにも特別なことなのか。

世界の「働く」をテーマに掲げ、どうやって若者たちが自分なりの人生を描いていくのかを調査してきているわけですが、ここでは話があまりに違いすぎる。若者たちの人生が環境という外的要因だけによって全て規定されてしまう。キベラスラムはそんな場所でした。

 

その惨状を目の当たりにした後、潤pが会話した若者たちは、それでも懸命に人生をよりよい方向に歩もうとする若者たちでした。人生に絶望し、悪行に手を染める若者が多い中、彼らは誠実に人生を全うしようと、懸命に堪えていました。

 

一体、何故彼らはそれでも笑顔でいられるのか?

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その答えは、このマゴソスクールが生み出した「循環」によるものだと思うのです。

 

オティソが将来、この学校に教師として戻ってきたいのも、オギラ先生が教頭として働いているのも、全てはこの「循環」にあるのではないのかと。

 

この世の中には、自分の力ではどうにもできない、生まれた時点で全てのライフコースが規定される若者たちがいるのです。先ほど資本主義社会にありながらという話をしましたが、彼らはその資本主義社会にありながら競争する権利を剥奪された、スタートもゴールもない人生をただひたすらに歩くしかない若者でした。

 

そんな人生に変革を与え、スタートラインに押し上げたのは、マゴソスクールを含めた多くの支援団体・個人でした。

その希望を掴んだ若者たちが、今、新たなバトンを繋ごうとしています。

つまり、どん底に落ちた彼らに唯一光った希望の灯火を、絶やさず後世にも灯していこうとする気持ちこそ、彼らが前を向いて歩める原動力なのではないかと思うのです。

 

キベラスラムのたった1日のスタディツアーが、今まで考えもしなかった出会いを引き合わせてくれて、想像もしていなかった過酷なライフコースのモデルを知る機会となりました。

この小さな「循環」がより大きなうねりになることを、心から願うのです。

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