潤pの、就活やめて、世界一周することにしちゃった。

2016/4/15から始まった、世界中の「働く」を探るプロジェクト! 日本の「就活」と「働く」ことに息苦しさを感じた「現役就活生」潤pが、世界の同世代と出会い、就活事情と労働環境、そのライフコースを取材、配信し、 帰国後に電子書籍化するプロジェクト。

【学校行く意味ないから中退した!?】職人として生きていくドイツの若者、日本人の100倍自由で真面目なライフコースの描き方。

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ドイツは今回潤pが旅した国の中で、

最もブルーカラーの地位が高い国でした。

 

日本を含めて世界的に、ホワイトカラーの人は、高学歴、高収入、社会的地位の高い人として認識される一方、ブルーカラーで働く人に対する負のイメージは少なからずあると言わざるをえません。

 

しかし、職人国家ドイツ、学歴で人を判断せず、すぐに使える即戦力の労働力に大きな価値をおくこの国では、ホワイトカラー、ブルーカラーとして人を分けるような発想がないように思います。

 

今回は、ドイツの「ブルーカラー」を歩む若者に迫ってみました。

 

 

職人を生み出す、ドイツの教育システム。

ドイツの教育システムについては、前回記事で詳しく触れました。

以下、ドイツの教育制度を簡略して図式化したものです。 

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ドイツの子供は、小学校卒業とともに義務教育の中で、4つの教育機関へ進学していきます。

そのうちの、①基幹学校と②実科学校は、職人などの技術職系を学ぶ学校で、いってしまえば、将来「ブルーカラー」になる子供たちを育成する教育機関です。

 

さらに、①基幹学校と②実科学校を卒業した生徒の多くは、全日制または定時制職業訓練コース(Ausbildung)へ進むことになります。

 

日本やアメリカでは考えられませんが、ドイツでは幼少期から人生の方向性が決まり、社会全体で職人を育てていく土壌が整っているといえます。

 

職人を目指す若者、アキ。

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今回出会ったドイツ人の若者、アキ(写真左から2番目)

彼とは、共通の友人の紹介で知り合い、滞在中ずっと家に泊めてもらっていたのです!感謝!!

 

名前:アキラ
年齢:21歳
職業:Ausbildung2年生。鉄工場見習い。

 

日本とドイツのハーフである彼。

小学校3年生の時に、ドイツに渡ってきました。

 

アキは、職業訓練コース(Ausbildung)の2年生。

現在、鉄工場の見習いとして、週に4日工場で働き、残りの1日または2日を学校で座学授業を学んでいます。

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*毎晩ビール!

 

工場勤務の日は朝5時に起きて仕事へ向かう。ひたすら潤pと毎晩飲んでいたのに、朝はしっかり起きて出勤するアキ。

ドイツで職人になるためには、Ausbildungを卒業することが必須になります。

Ausbildungを卒業してもらえるサティフィケーションで、一人前として雇用される条件が整うのです。

 

学校を中退!?それでも歩めるドイツの制度。

アキ:Ausbildungの一番のメリットは、学校を卒業していなくても入学できること。俺みたいにドロップアウトした人間でも、ちゃんと人生を歩んでいくことができるんだ。

 

アキは学校を中退しています。

 

潤p:なんで中退しようと思ったの?

アキ:勉強が大嫌いで、毎日酒浸りで二日酔いで学校へ行くような毎日だったんだ。で、なんでこんな状態で好きでもない勉強をする意味があるのかって考えて、意味がないとおもったから、学校をやめたんだ。

 

日本で中退と聞けば、驚かれてしまようなことかもしれませんが、アキの言葉には妙に説得力がありました。

 

しかし、ドイツの教育制度では、アキのようにドロップアウトした若者でも、その後の将来生きていくことができる道がしっかりと整備されています。

 

Ausbildungのように、学校を中退した人でも通うことができて、さらに卒業すれば同じ分野の大学に通うことも可能になる。

 

アキ:日本だと、中退すると、悪いことしてたの? とか、ニートだったの? ってなっちゃうでしょ? でも、若気の至りって誰にでもあると思うから、それを救済してくれる方法があるドイツはいいと思う。

 

ドイツには、一度道をそれたとしてもまた復帰できる策、働く方法、生きて行く方法が確実にあるというのです。

 

しかし、当然ながらドイツの制度を知らない日本人の母親とはもめることがあったそう。日本人的な価値観からは中退なんて信じられない!という気持ちもわかりますが、アキが生きていくのはすでにドイツです。ドイツの制度の上、Ausbildungで生きていくことができるとわかっていたアキは、必死に親を説得したといいます。

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そこから、障害児サポートをする仕事を1年間経験したアキ。

これは、高校を辞めたはいいけれど、自分が何をしたいかわからず自分がどんな仕事に向いているのかを考えるのにいい機会になると思い始めたそう。漠然と子供が好きだから、好きなことにチャレンジした、ドイツ人らしい、人生の立ち止まる期間です。

 

そこから、日本の石工場で働いている友人の工場を見て感銘を受け、職人になりたいと決意。今に至るというのです。

 

アキ:ドイツは、仕事を得るまでに色んなサポートを手厚くしてくれるんだ。Ausbildungに行く前はどんな仕事をしたいか無料で相談できて、繋げてくれる場所もあるし、就活に関してもしっかりサポートをしてくれるんだ。

 

日本とドイツの「ハーフ」が考える、2つの国。

小学3年生まで日本で育ってきたアキの根底には、深く日本人的な部分があると感じました。

 

この旅を通して何人ものハーフ(この言葉にも少し疑問あり)の人に出会いましたが、彼らは2つの国の文化や価値観を生まれながらに体得していて、とても豊かな発想のできる貴重な人材だと思います。

 

欧米欧州では、ハーフとは呼ばず、ダブルといったりするのがまさにこのことで、彼らは普通の人の半分しかないハーフではなくて、普通の人の2倍素晴らしいものを持っているダブルであるという考え方です。

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*毎晩飲んだ、ドイツ・ケルンの地ビール、ケルッシュ

 

そんなアキは、ドイツと日本を比較して、彼なりの考え方を語ってくれます。

アキ:ドイツに来て、まず驚いたのはその自由さ。まず、小学校の机だってまっすぐじゃないし、グループごとになったり、円形の机だったり。そごい驚いたよ(笑)。

 

アキは、将来日本に住むということはあるのでしょうか。

潤p:アキは日本で働いたりもするの?

アキ:日本は大好きなんだけど、働くのは難しかも。あまりに働き方が違うから。

潤p:どんなところ?

アキ:まず、日本人は周りの人の目をすごい気にし過ぎてるように感じるよ。日本に帰ると、母親にみっともない格好するなって言われるんだ(笑)ドイツじゃみんな適当な格好してるから、そんなに人の目を気にするんだって、驚いたよ(笑)

潤p:確かにねー!

アキ:潤pのさ!就活やめて世界一周ってタイトルも、正直ちょっと驚いたよ!

潤p:え!?なんで!?!?

アキ:だって、そんなの当たり前じゃん?就活やめたいならやめればばいいし、好きなことはすればいい。ドイツはそうゆう文化だから。

 

確かに。。。そう言われればそうだとギクリとしてしまいますが、日本社会だからこそ、このタイトルの意味があるものだと、改めて気付かされます。

 

そのような発想の元にあるからこそ、好きなを格好して、中退ありに、ホワイト・ブルー関係なく、本当に自由に生きるライフコースが描けるのだと思います。

 

f:id:jumpeikobayashi:20170326214449j:plain*友達たちと

 

潤p:アキのアイデンティティって、どうゆうところにあるの?

アキ:自分のアイデンティティって、そんなに強いものじゃないかな。ドイツ人って誰って聞かれたら、ドイツ語が話せて、ドイツが好きで、ドイツに住んでる人だと思うし、それは日本にもいえるから。なんていうか、自分個人のアイデンティティとして生きているかな。

 

集団に帰属することなく、あくまで自分個人として生きる彼ら。

彼らと話していると、その意思決定の構築の自由さと自信に驚かされます。

自分が何をしたいかに幼少期から常に向き合って生きて行く。そして、自由に生きることを可能にするシステムがある。誰もが自由に人生を描ける環境が、ここドイツにはあるのです。

 

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潤p:アキの将来の夢は何?

アキ:楽しく生きることかな。今から決めちゃったら、そこにしか進めないじゃん? だから、もっと色々選択肢あってもいいとおもうんだ。でも今はとりあえず、職場で働きながら、夜間大学に行こうと思ってるよ。

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