【アメリカ弱肉強食の就活事情】学歴闘争に負けた若者の、超現実的なキャリアプラン。
究極の競争社会、アメリカ。
前回記事で触れたハーバード大学の優秀学生がいる一方で、そこにあぶれてしまう若者が存在するのもまた事実。
ただ、彼らもただ黙ってい生きているわけじゃない。
彼らには彼らなりの人生設計があり、戦略がある。
そんなボストンで出会った1人の若者の、厳しい環境の中でキャリアアップを目指し続ける生き方に迫ってみます。
ベトナムを飛び出した、V。
ボストンで使ったairbnbのホストが、今回の若者、23歳のV。
ベトナム人である彼女は、17歳でアメリカに渡ってきました。
V:仕事のないベトナムを、とにかく出たかったんです。
移民の国アメリカ。
アメリカンドリームを求めて、多くの国から人々が集まってきます。
私はキャリアで勝負する。アメリカの就職事情。
ボストンにいた親戚を訪ねて単身アメリカへ渡った彼女。
その後テキサスの大学でビジネスを学び、卒業後ボストンに戻り、現在ボストンのApple Storeで働いています。
Apple storeには、大学時代のコネで入ることができたそう。
V:Apple Storeで働けて、VISAも出た私は本当にラッキーだと思う。学歴では他の学生にかなわないから、キャリアで実績を積んで勝負していこうと思ってるの。
ボストンで就職し働いていくことは、非常に厳しい戦いになるそうです。
優秀大学が軒を連ねるボストンには、全米でも特に優秀な学生が集まっているため、有名な大学の生徒たちからまず仕事を見つけていくのです。
完全学歴社会であるアメリカ。
必ずしも優秀とはいえない大学を出た彼女が考えた策、まずはどんな仕事であっても職務経験をアメリカでつけることで、その先のキャリアアップに繋げようという方法です。
学歴と同じようにアメリカで重要な職務経験。
アメリカでは、まず小さい会社で経験を積み、そこから実力で転職してよりよい条件の職に転職していくスタイルが基本です。
そして、特に彼女のような外国人にとって、アメリカで仕事をしたという経験は大きなアドバンテージになります。
V:今の会社では、会社のプログラムで通信制の学校にも通わせてもらっているの。仕事をしながら学歴も追加できて、とてもいい環境で働けているんだと思う。
*airbnbとして貸し出す、彼女の家。
戦略的な、人生設計。
彼女はまだ23歳でありながら、とても現実的に自分の将来を考え、戦略立てて設計しています。
ヨーロッパの特にドイツの若者たちも、とても主体的に人生設計をしていました。
一方アメリカの若者も同様に主体的に人生設計をしながらに、よりシリアスに、戦略的にライフコースを描いています。
ドイツの若者たちが、自分が生きたいように、社会の枠組みにとらわれず人生を描いていくのとは、対照的な主体性。
生きる社会によって、ここまで考えかたって違うんだなぁと、思わされるのです。
*潤pの泊まった部屋。
競争社会アメリカの、理にかなった仕組み。
日本の大学が最近「就職予備校」と化していることが問題視されています。
本来学びの場所である大学が、就職してからどう仕事をさばいていくかというスキルを教えられるだけの予備校になってしまっているという指摘です。
しかし、アメリカの大学は、就職予備校、まぎれもないそのもの。
ただ、それは決してネガティブな意味合いではなく、
大学は、自分の価値を社会に還元していくために専門性を高める場、本当の意味での学びの場とアメリカでは位置付けられています。
その上で、日本の大学生よりもアメリカの大学生の方が、何倍も勉強しているという事実があります。
アメリカの大学でひたすらに求められること、それは「自分の専門性を高め、即戦力として使える人材」になること。
その枠組みの中で、大学の1.2年は特定の学部に所属せず自分の適性を見極める期間に使い、3年から専門性を高めていくことは非常に理にかなっているように思います。
就職率を上げるためだけに、就活直前にだけ小手先の就職セミナーを必死に開くような日本の大学で、1,2年は遊んで単位が落ちてくるような中途半端な大学システム。
そもそもが学びの環境すら整っていないように思われるこの日本の大学に、今更就職予備校化しているなんて指摘は、問題の本質を何も捉えられていない不毛な議論に思います。
大学制度というもの自体が輸入ものであるという事実を忘れ、土壌のない日本社会にねじ込むだけねじ込んで、これまで議論と具体的な政策をもって取り組んでこなかった歴史にこそ、一番の問題があるのだと潤pは思うのです。
V:これからは自分が大学で学んできたこと(ビジネス・アナリティクス)の分野の仕事を見つけたいの。そうすることで、給料もよくなるし。今はその目標に少しでも近づけるように、本当はやりたくはない仕事でも、ステップアップだと思ってる。
彼女の仕事からの帰りは、いつも21:00を過ぎる。
通信制の授業も受講する彼女は、帰宅後、そこから宿題に取り掛かる。
食事は、作り置きしてある自国の郷土料理。
生きていくためには、挑戦し続けなくてはいけない。
そんな環境に立たされたまだ23歳の若者は、自分のハンデを理解した戦略で、これからも続く荒波を歩み続けていく。
これがアメリカの若者のリアルです。