潤pの、就活やめて、世界一周することにしちゃった。

2016/4/15から始まった、世界中の「働く」を探るプロジェクト! 日本の「就活」と「働く」ことに息苦しさを感じた「現役就活生」潤pが、世界の同世代と出会い、就活事情と労働環境、そのライフコースを取材、配信し、 帰国後に電子書籍化するプロジェクト。

【トランプが明かす、アメリカンドリームの崩壊】アメリカ資本主義の「美学」と、日本の生きづらさの正体。

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アメリカという国を理解していなかったこれまで、アメリカは弱肉強食の優しさのかけらもない恐ろしい国だと思っていました。

しかし、こうして長くアメリカという国を感じてみると、この果てしのない競争も、アメリカ流の「美学」を元にできているのだということが、わかってくるのです。

いったいそれはなんなのか、今回はそこのところ探っていきたいと思うのです。

 

 

↓参考にこれまでのアメリカの「働く」記事↓

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夢を見させる希望の国、アメリカ。 

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A:アメリカは若い国だから、夢を見ることができるの。まだつい1世代前が成り上がりで成功を収めてきて、目に見える形の夢が、この国にはあると思うの。

 

そう語るのは、アメリカで長く教鞭を執られる日本人大学教師のA先生。

ニューヨークのいくつかの大学で授業を持たれる、快活な女性の先生です。

 

アメリカ人でさえも、アメリカが若い国であると笑い飛ばすように、アメリカは事実とても新しい国。

日本のように歴史が長い国に生まれるとなんだか誇らしい気持ちが持てる反面、今世界を実質的に支配しているのは、建国から240年余りの若い国であるという事実。

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A:ヨーロッパには、たまに恐ろしいほどのお金持ちの人たちがいるのよ。ブランド物しか知らないような、世界に貧困があることも知らないような。

 

先生によると、ヨーロッパには、長い歴史の中で今更変化しようもないほどに根を下ろした階級差があり、生まれながらに全てが決まっているような、努力では超えられない壁が存在している反面、若いアメリカには、若さゆえのチャンスがあると語ります。

 

確かにアメリカにいるといつも思うのが、夢を見させるのがうまい国だなと。

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不景気を吹き飛ばしてしまうようなネオンの輝きと豪快な食べ物、ハリウッドやラスベガスなどの極上のエンターテインメントには、自分でも明日には億万長者になれるんじゃないかと思わせてくれるパワーがあるのです。

 

世界の秀才が集まる、世界の中心、ニューヨーク。

A:ニューヨークで成功することは、世界の中心で成功することを意味するの。だからこそ、世界の優秀な学生がここに集まってくる。

 

ゴールドマンサックスの新入社員は入社式で、ビルの最上階に連れて行かれ、「お前ら以外は皆んな下の人間だ」と教えられるという話を聞きました。

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世界の経済を回すウォールストリートの金融機関には、学歴があり、プレゼン能力があり、即戦力でありと、全てを揃えた若者たちが集まっているそう。

そしてそんな若者たちが持っているのは、世界の中心で、世界最高峰の人脈を使い、世界を巻き込んでやろうという野望。

 

A:アメリカの金融業界に若者たちが入るのは、あくまでキャリア作りとコネ作りの戦略なの。最終的には独立しようとしてる若者ばかり。皆んな利用しようとしているだけで、まともな給料が払われなければやめるだけ。

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この若者のギラつくエネルギーこそ、ニューヨークが輝き続けている理由だと語ります。

ちなみに今は、アメリカの若者よりも増して、中国の若者が優秀なニューヨークの大学を占めているといいます。

 

アメリカ流の「美学」とは。

A:ニューヨークからはいつも元気をもらえるの。成功する人は誰でも成功できる、これがアメリカのスタイルなの。そして、誰でもそのスタートに立とうとするセンスが培われてる。

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アメリカは、黒人奴隷解放の時代から、全ての人が同じスタート(ステージ)に立つ権利を獲得するのために戦ってきた歴史を持つ国です。

 

今、急増する南米からの移民が何人もサクセスストーリーを描いているように、アメリカには誰にでも成功できる土壌があり、そして成功者を賞賛する価値観が根付いているといいます。

妬み嫉みから相手の足を引っ張り合う日本とは、同じ資本主義でもまるで違うのが、ここアメリカなのです。

 

A:ニューヨークには、アフリカ支援の団体がとても多いの。個人としても多いしね。意識の中で、全ての人が平等に戦うことが当然で、必要だと認識している、これが、アメリカらしい経済のあり方だと思う。

 

アメリカは、自由資本主義のメリットを最大限に引き出している国だと思います。

一見して恐ろしい弱肉強食の社会には、絶え間なく人々を競争に煽る一方で、公平な競争という共通ラインの元、夢を持って戦える環境があるのです。

 

アメリカの「個人主義」、日本の「社会主義」。最近の日本はどこかがおかしくなっている。

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アメリカとヨーロッパの違いを始めに述べましたが、根っこの部分で両者は共通しています。

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ヨーロッパ編で触れてきたように、自分が好きなように、自分の物差しで生きていくヨーロッパ人の「個」の幸せを求めていく価値観と、

アメリカの、厳しい競争社会の中で、人は人、自分は自分と割り切る態度、戦略を立てて自分の夢を目指し続けるプロセスは、

共通した「個人主義」なのだと思います。

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一方日本はどうなのか。

形としては同様の資本主義、民主主義を取っています。

しかし、潤pはここで日本は「社会主義」であると言ってみようと思うのです。

 

ただ、これは決して否定的な意味ではありません。

日本人(東アジア人)は個人よりも、組織集団での幸せの実現と共有に、喜びを覚える人たちだと思うからなのです。

 

しかし、最近の日本はどこかがおかしい。

いつの間にか日本らしい「社会主義」は形骸化し、その思想は否定され、西欧の「個人主義」を無理やりに信仰させられる社会になりました。

村社会の崩壊と、競争社会の到来です。

 

一番の問題は、「社会主義」のシステムに、「個人主義」の発想を無理にねじ込んでしまったこと。

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今の日本は、社会や集団の枠組みを重んじながら、「他者」とは違う「個」が煽られる社会だと思います。

 

こうして生まれたのが、

集団の中で1位になること、

そのために他者を蹴落とすこと、

他者と比較して自分に安心すること、絶望すること、

集団の規律に飲み込まれ生産性を極限まで高めることで身を滅ぼしてしまうこと。

 

高度経済成長期には、この日本らしい「社会主義」と目標としての「個人主義」がうまい具合で溶け合って結果的な大成功を収めました。

 

しかし、時代は少子高齢化、終わりのない不況の時代にあって、このねじれにねじれた価値観は、今僕ら若者を強く苦しく蝕んでいます。

アメリカ式な資本主義の「美学」と哲学の源泉を共有しない僕ら日本人に、その文明の利器が突如として投下されたことで、今の生きづらさが生まれたのではないかと思います。

 

戦後、常にアメリカを目指して歩み続けてきた日本。

ここで改めて、日本人に根ざした、日本の良さ、そこを問い直す時代が来たように思います。

 

崩壊する、アメリカの「美学」。

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最後に、このアメリカの「美学」すらも崩壊しつつあることにも触れておきます。

 

潤pがアメリカに到着した日は、新大統領ドナルド・トランプが就任した1週間後。

トランプがアメリカの大統領に当選したことは、これまでの競争の「美学」の終焉と、新しい時代の到来を意味しているように思います。

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これまでの夢を見続けることができた、チャンスに賭けることができたアメリカから、どう努力しても夢にたどり着けない敗者が増えすぎた結果が、このトランプの当選だと思うのです。

 

移民を仮想敵と定めて、保守的な傾向に立ち返る姿は、あの華々しくエネルギーに満ちたアメリカンドリームが、もはや幻想に過ぎなくなったのだという現実を突きつけられているようで、悲しくも思います。

最後の希望に賭けてトランプを勝たせたという、最後のアメリカンドリームという発想もできなくはないですが、いずれにせよ、資本主義は終焉を迎えつつあるのかもしれません。

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*マンハッタンのホームレスが置いていたメッセージ。

 

ニューヨークには、億万長者の成功者がいる一方で、輝くネオンの下には、傷心し道端にうずくまるホームレスたちが並存しています。

 

これまでの、アメコミのヒーローのように、1人の絶対正義だけが正しいとされる時代ではなくなった今、ハーバード大学では、日本人の価値観、働き方の研究が始まっているといいます。

これは、日本的な集団の力でコツコツと大きな夢を実現させていくという価値観と、全てを受け入れ調和を好む発想に関する研究で、今世界の最高峰の研究所でこれらが見直されているというのです。

改めて、僕たち日本人は、そろそろ他者(外国)との比較と模倣の日々をやめ、本当に自分たちにとっての幸せを問うべき瞬間にあると、強く思うのであります。

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