スラムに生きる少年は、幸せだった。インドの「最底辺」の「最高」なライフコースの描き方。
インド最大のスラム、ダラビで1人の少年と出会いました。
最悪と言わざるを得ないような環境で育った彼は、間違いなく僕の抱いていた「スラムの少年」とは異なる目の輝きを持っていました。
ついに出会った、インドの「最底辺」に生きる若者の語り、まとめていきます。
スラムに生きる、13歳の少年。
こちらの記事で紹介したスラムの学校で、少年とは出会いました。
とても熱心に見える彼は、他の生徒とは一味違う雰囲気を持っています。
こちらから挨拶するまでもなく、流暢な英語の挨拶で出迎えてくれる、優しい少年です。
名前:アディティア
年齢:13歳
職業:インターミディエット(日本の中学校)
13歳の少年、アディティア。
今回の潤pのプロジェクトでは今の所最年少。
出身はここダラビスラムではありませんが、幼い時に父親の仕事で一家でムンバイにやってきて、それ以降ダラビに住んでいます。
父親の仕事は写真撮影の時に被写体を照らす写真館の照明の仕事。母親は家政婦で、2歳年上の兄もいます。
スラムの秀才。
まず驚くのが、彼の英語が流暢なこと。総じてインド人は英語が得意ですが、多くの人が独特のインドなまりの英語を発音しております。
しかし、彼はとても綺麗な発音で、13歳という若さながら、潤pよりも多くの単語を知っておられます。
くそぅ、、、悔しい。。。
潤p:どうやってそんなに英語が喋れるようになったの?
アディ:ここの学校で英語を勉強して、自分でも英語の本を読んだりして勉強しました。
この学校には幼い頃から通い、初等教育から英語などを終え、現在はコンピュータプログラミングの初級の授業を受講しているらしい。
将来役に立つからと、すでにエンジニアリングの分野に足を踏み入れています。
潤p:将来はどんな仕事がしたい?大学の学部は?
アディ:まだ、決めていません。これから大学に行く前に、いろいろな知識を比べた上で、決めていきます。だから今は、たくさん本を読んで、ニュースを見て、毎日いろいろな知識を入れるようにしています。
大成功のインタビュー。
Youtube動画で、アディティアのインタビュー後に大興奮している潤pをご覧いただけますが、いやいや本当に、彼とのインタビューはこれまでで一番の出来だと言ってもいいほどのものでした。
何がって、とても相互生産的なインタビューになったから。
彼のリアクションや好奇心も合わさって、潤pが一方的に情報を抽出する関係ではなく、お互いに知識や情報を共有し合うことができたのです。
何より、彼がとても外国に興味を持っていて、日本の政治や社会問題などのテーマに関しても潤pに質問してくれたこと。
たまに、ん!?まずい、、、それ知らない。。。とかなりながら全力で知識を引っ張りだして潤pも頑張りました。
そして、驚くのが彼の知識量。本やニュースを見ているとは本当で、日本の少子高齢化問題なんかのトピックも話に出してくれたほど。
スラムの少年は、幸せだった。
潤p:今の生活で、何か困っていることとか、問題はある?
アディ:それは全くないです。僕はいつも、幸せでいっぱいです。
潤p:正直なところ、お父さんの収入で、問題はない?
アディ:いつも幸せだから、僕は問題だと思ったことはありません。
潤p:このダラビから出ていきたいと思うことはある?
アディ:それはないです。僕はここで育って、家族もここにいるから。家族といられることが、一番の幸せです。
何度も、父親と母親への感謝の気持ちを述べる彼。
彼と話をしていると、まるで彼がスラムの少年であることを忘れてしまいそうになります。しかし、写真館でライトを当てる仕事をしているという父親の収入が、決して生活を楽にしているものとは思えません。間違いなくこのアジア最大のスラムで、彼はインドでの「最底辺」を生きています。
しかし、彼の顔は、家族の話になると眩しいほどの笑顔になって、僕の質問に対しては驚くほど魂の芯から真剣に答えてくれます。
「スラム」から「最底辺」の生き方を見ようとした結果、こんな幸せそうな少年に会えるなんて、誰が想像できたでしょうか。
潤p:アディティアにとって、人生の成功ってどんなもの?
アディ:んー、学習、結婚、仕事、楽しむ。この4つが叶えられたときかな!
さらに、最後には力強く、こんな質問に答えてくれました。
潤p:外国に行きたい?
アディ:必ず自分で行くよ!(I will do.)
彼は自分自信で人生選択をしているのです。
インド人として、活きる。
最後に、恒例の、フラッグにその人にとっての人生の活き方を書いてもらっているコーナー。
彼は、
I am Indian.
という言葉を書いてくれました。
スラムで育ち暮らす彼が、自分がインド人であることに強い誇りを持っていることがわかる一言。
これを聞いた瞬間に、彼は、必ずこの厳しい社会で生き抜いていけるなと、確信してしまいました。
生まれ活きる環境に、自分なりの道を描くことができている、13歳から湧き出た、力強いメッセージです。
インド最大のスラムで出会った少年の目は、眩しく輝いていました。
インドの「最底辺」として始めたこのフィールドワークで得た答えは、そこに活きる若者は、環境に依存せず、彼のライフコースの描き方は、「最高」のものでした。